厚労省のデータによると、感染している可能性の高い、明確な症状のある人とはっきりした濃厚接触者だけを検査していた、4月頃のPCR検査陽性率が10%ちょっとです。
現在は、明確な症状のある人が少ないので、無症状や軽症の人と、以前であれば濃厚接触者には該当しなかった人も含めて検査をして、PCR検査陽性率が6~7%となっています。
普通に考えれば、4月頃のPCR検査は感度が低くて陽性者を見逃していて、現在のPCR検査では特異度が低くて擬陽性者(本当は陰性だが、陽性と判定される)をたくさん出しているということでしょう。恐らく、現在のPCR検査陽性者の3割超は擬陽性だと思われます。
新型コロナ感染者が増えたのは、検査数が増えたからだという指摘があります。
感染者ということば、明確な誤りです。PCR検査の陽性者であって、感染者ではありません。政治家はともかく、専門家まで感染者と表現するのは、悪質なデマです。
PCR検査を受けた人の数は右上のグラフのように増えています。
4月頃は1日に4000人くらいだったのが、今では平均2万人に近づいています。およそ5倍です。
一方で、PCR検査数のデータがあります。右中のグラフです。
4月頃は1日に8000件くらいで、今は2万5千件近くになっています。こちらは、およそ3倍です。
ちょっとおかしいでしょ。
そこで、検査件数÷検査人数をグラフにしたのが右下です。
青線が毎日の割合ですが、バラツキが大きいので7日間(1週間)の移動平均にしたのがオレンジ色の線です。
4月はPCR検査人数に対して、ほぼ2倍の検査件数がありました。
つまり、ちょっと怪しい検査結果に対しては何度も再検査をして、確認をしていたわけです。
この頃の検査は、確定検査といわれるもので、症状のある人をどのように治療するかを判断するので重要性が高かったのです。
現在は検査人数に対して、1.25倍の検査件数になっています。また、その割合は毎日下がっていっています。つまり、1回検査したら、そのデータで判定しているケースが多いということです。現在の検査は、症状のある人の治療に役立てる目的ではなく、単なるスクリーニングになっています。言葉は悪いですが、人の健康に対する重要度が低いのです。
専門家委員会によれば、PCR検査の感度は70%未満だそうです。特異度は99%と言われます。しかし、この感度と特異度をどうやって求めたかという評価は公開されていません。
当然ながら、疑わしいサンプルに対して、再サンプリングをして、検査を複数回おこなった場合には、感度が上がるということはないにしても、特異度は確実に上がります。つまり、陰性の人を陽性と判定する確率は下がります。
逆に、PCR検査の数を増やして、1回の検査で判定をおこなえば、特異度は上がっていきます。特に、検体を取り扱う人の技量はどうしても下がっていきますから、サンプルへのコンタミネーションリスクは大きくなります。
仮に、感度70%・特異度98%で計算すれば、PCR検査陽性者のうち3割は擬陽性です。例えば、1日に1300人が検査で陽性になったとして、400人は擬陽性ということになります。
何度も書いていますが、製造業の品質管理では、検査数を増やすことで、品質を保証することはできませんし、そんなことはしません。