「ドルチェ&ガッバーナ」というのは、イタリアの高級ファッションブランドだそうです。
瑛人さんが歌う「香水」という曲がとても流行しています。「ドルチェ&ガッパーナ」の香水のかおりが、長く会っていなかった君を思い出させるという、とても印象的なストーリーです。世界中で最も有名な香水、シャネル№5を世に出したココ・シャネルは、「もっとも人間的なもの、それは匂い」と言ったそうです。
環境の世界では”におい”も”かおり”も同じものです。人が、そのかおりを好いと思うか、悪いと思うかはそれぞれです。
実際、菓子工場から漏れる甘い香りでも苦情がよせられることは、よくあります。
苦情があれば、臭気判定をします。敷地境界において、一定以上の強度(何の臭いかがギリギリ分かる程度です)の臭いがあれば、どんな臭いでも香りでもNGです。
一般的に誰もが悪臭と感じる成分では機械判定もあります。特定悪臭物質として、アンモニア、硫化水素、イソ吉草酸など22物質が指定されています。
これは、機械で濃度を測って、規格値以上であればNGです。
におい香りが難しいのは、臭いにおいを入れることで、良い香水がつくられることです。
シャネル№5は、現代香水に革命をもたらしました。シェネル№5のパフューマー(調香師)はエルネスト・ボーというロシア人です。
あるとき、シャネルはポーに、自分が考える香水のイメージを伝えます。ポーは10種類の香水の試作品をつくりました。シャネルは、そのなかから5番目の試作品を選択したそうです。
シャネル№5が、革命的なのは脂肪酸アルデヒドを、ほとんど限界まで高濃度に含んでいることです。アルデヒドそのものの香りは悪臭と言ってよいものです。それまでの香水でも、含まれているものはあるのですが、シャネル№5ほど多量に入っているものはありませんでした。
悪臭成分が、香水の香りに深みを与えたのです。
長く残る記憶には、いくらかの悪が混ざっていないといけないのかも知れません。
シャネル№5は1920年につくられています(市販は1921年)ので、ちょうど100年前です。シャネル№5以降の100年間に販売されたほとんどの香水には、何かしらの悪臭成分を混合しているそうです。シャネル№5で、シャネルとポーは、こうして現代香水の世界に、センセーションを巻き起こしたのです。
さて、ドルチェ&ガッバーナの香水も、何人かの優れたパフューマーが携わっているようです。歌詞から想像するに、イタリア系スイス人のクリスティーナ・ナジェルあたりが候補でしょうか? 彼女は、いまはエルメスの専属パフューマーをしています。