私、1999年の6月29日に博多駅前のビジネスホテルに宿泊していました。
当時、工場がISO14001の認証取得するということになって、内部監査員の2日間講習に来ていました。1日目が終わって、2日目の講習のために朝ホテルを出ようとしたら、土砂降りの雨です。会場には歩いていくつもりだったのですが、フロントに降りて、どうしようかなと悩んでいました。
フロントの人から、タクシーを呼びましょうと勧められました。まぁ、ずぶ濡れになるのも嫌なのでタクシーを呼んでもらいました。
そのときは、道路に少し水が出ていたので、運転手さんに「大丈夫ですか?」と訊ねると、「いや~、何も問題なかっとよ」との返事です。ところが、タクシーがホテルを出発すると、道路の水嵩がみるみるうちに上がってきます。
運転手さんも慌てだして、「こりゃ、ちょっとやばかですね?」なんて言い出したところ、前方が渋滞してきます。水嵩はどんどん上がって、タクシーの中に水が入ってきます。エンジンが止まって、運転手さんは無線で会社に応援を頼んでいます。※<教訓>クルマは水につかるとエンジンが止まります。
そうすると、タクシーが水の浮力で浮き上がって路肩に流されていきました。歩道の境にあるガードレールに引っかかって万事休すです。運転手さんは要らないと言われたのですが、千円だけ払ってタクシーを降りました。そこから、ズボンをたくし上げて、靴を手に持って裸足で講習会場に行きました。※<教訓>クルマは割と簡単に流されます。
長々書いたのは、今回の洪水被害は比較的人口密度の低いところで起きています。しかし、これは偶然に過ぎません。大都市であっても水没のリスクは、同じようにあるいはそれ以上に高いのです。福岡水害では、地下街に水が流れ込んで、死者も出ています。
この福岡水害は、この日の朝3時間ほどに集中して、120㎜くらいの雨が降ったことによって発生しています。局地的に積乱雲が成長したことが原因でした。※<教訓>豪雨には、広域豪雨だけでなく、狭い範囲に短時間に雨が降る集中豪雨(ゲリラ豪雨)もあります。
ところで、今回の球磨川流域で降ったのと同じ量の雨が利根川上流域で降ったとすれば、東京はどうなるでしょうか? もし、渡良瀬川や荒川が氾濫したらどうでしょうか?
そういう場所に雨が降り続いて、渡良瀬川や荒川の氾濫する確率が、球磨川や筑後川と比べて低いわけではないと思います。
球磨川の流域人口は15万人足らずでしたが、荒川であれば流域人口が900万人くらいになります。また、地下鉄に限らず交通インフラやその他の重要インフラが河川の表層より下に大量にあります。どんなことになるかは、想像したくないです。
同じ危険は、大阪でも名古屋でも福岡でもあります。むしろ、これらの大都市は、海に面してますから洪水だけでなく、台風による高潮や津波の危険もあります。
今回の豪雨で、大都市が水没していないのは、単なる偶然なんです。
100年に一度は、どこにでも起こるかもしれません。よく考えないといけません。