社長さんから、無利子無担保でお金を借りてくれと言われるが、何故こんなにお金が借りやすくなったのか?気味が悪いんだが・・というお話です。
簡単に言えば、政府がお金を借りるのが嫌なので、代わりに民間にお金を借りてもらうということなんです。民間というのは、金融機関・非金融機関・家計の3つに分けられます。ちょっと、分かりにくいかも知れませんが、政府が借りるのも、民間が借りるのも、借金に変わりがありません。
政府でも、家計でも考え方は同じです。
政府は、コロナ対策で急な出費が必要になりました。ところが、手元にお金がありません。それどころか、既に借金まみれで、まともな銀行からの借り入れだけでは足らないで、高利の借り入れまである状況です。
政府だから紙幣を刷ればいいじゃないか、と某氏が言われていました。普通に考えれば、貨幣の価値が下がるのでインフレになって、政府は借金の負担が減ります。しかも、国民の多くは見かけの給与が増えるので、何となく騙されそうです。
しかし、貨幣価値が下がるというのは、日本円の価値が下がる、つまりは日本製品の価格があがる、ということですから、日本でつくるものは世界で売れなくなります。
それでも、お金が必要です。政府がさらに借金をすることが考えられます。この借金の担保は将来の国民からの税金収入です。既に、政府(地方自治体含む)債務は約1250兆円にもなっていますから、これから税金を払う人は大変です。まぁ、ここには、いろいろな考え方があるのですが、借金が多すぎることに異存はあまりないでしょう。
そこで、代わりに民間で、政府の代わりに借金してもらうということになります。現在の金融機関を除く民間債務は約560兆円です。家計の債務は約320兆円です。政府より、借金する余裕がありそうです。
例えば、政府が住宅ローンの利率を下げるとか、減税したりする政策を打ち出すと、国民は喜びます。競って、ローンを組んで持ち家を建てたり、マンションを買おうとします。人々は満足感があって、幸せだからそれいいのですが、実は公営住宅を建設するための政府の借金を肩代わりしているのと同じです。
但し、長期的に見れば単なる時間稼ぎにしかならないのです。民間企業や家計が借金する担保は、企業や家計の将来の収入です。その収入が無ければ、破綻します。収入を確保できるには、国家(政府)が健全であり、経済活動が盛んにおこなわれていないとなりません。
今、経営者さんに対して、この機会にお金を借りられるだけ借りておけ。もし返せなくなっても、事実上踏み倒せる。もし使い道が無ければ、借りた金を使わないで持っておけばいい。とアドバイスする人もおります。
「借りたカネは返す」「返せないカネは借りない」というのが、経営以前に、人の道です。これが、崩れると国が、世界が壊れます。
将来世代に正しく事業を、健全な国を、世界を引き継ぐことが、現役世代の責務です。