超過死亡が無かった4月~人口動態統計

アメリカでもイギリスでも、自治体毎の週毎の死亡統計が、翌々週に速報として出されます。

 

ところが、日本では、月間の死亡統計が翌々月末に速報?として出されます。しかも、市町村別ではなく、都道府県別と政令市のデータです。日本は、人口の多い国なので、東京都はベルギーやギリシャより大きく、神奈川県はハンガリー、大阪府はオーストリアと同じくらいです。このスピード感の欠如が、デマを誘因する原因になっています。

 

さて、過去〇年の平均より死者数が多いから、超過死亡が発生しているという、悪質なデマがありました。”平均”という値を使うのは、統計でウソをつく場合の基本のキです。

以下のブログを参照してください。ご用心・ご用心。

☞ 2020/06/15 新型コロナ:ニュースのウソを見抜く!


さて、今日、2020年4月の人口動態統計が公表されました。都道府県と政令都市別に、4月の死亡者数が何人だったかがわかります。また、1月~4月の累計もわかります。

 

過去6年間の日本全体の推移を並べてみると以下です。

なお、次からの3種のグラフ(日本・東京都・山口県)では、縦軸の値は異なりますが、最小値と最大値は全て1.2倍で合わせています。

4月死者数が毎年増えていることがわかります。1月~4月の死者数も増加トレンドが見られますが、2020年は逆に下がっています。

 

上昇トレンドの原因は、日本の高齢人口の増加です。2014年9月の高齢人口は3199万人で、2019年9月は3588万人です。12.2%増えていますから、日本の死者数もそれだけ増えていくはずです。過去5年間(2015年~2019年)の平均と2020年の死者数を比較して、超過死亡が発生しているなぞと騙されて、慌てる必要はありません。

 

尚、2020年は1月~4月の累計では死亡者数が減少しています。この冬が、気象庁の観測史上で最も気温が高く、降雪量が少なかったということが原因と思われます。近年は、暖冬傾向の年が多いのですが、このグラフでは2015年・2018年が寒い冬です。

 

同様に、東京都のデータが以下です。

東京都と日本全体のグラフは似通っていますが、少し振れ幅が大きいですね。

 

次に山口県のデータです。

山口県の場合には、死者数の増加トレンドが見当たりませんね。

 

これは、山口県の高齢化が日本全体の高齢化、東京都の高齢化より、1歩先にいっているからです。

県の人口そのものが減少トレンドにありますし、高齢者人口も増えなくなっています。

 

最後に、過去5年間の推移から計算した2020年の予想死亡者数と、実際の死亡者数を示したグラフが以下です。

簡単に言えば、新型コロナウイルスは、日本で超過死亡を発生させなかった。新型コロナウイルスは、日本での死亡者数に大きな影響を与えていない。ということです。