新型コロナ関連で中小企業や個人事業主の支援する持続化給付金事業が批判されています。
主な批判は2つです。1つ目は、給付金の申請をしてから支給までに時間がかかるというものですが、書類が正しく揃っていれば2週間ちょっとで支給されるそうですから、この批判は無茶です。2つ目は、事業を受託した某協議会が怪しくて、且つ事業を再委託した先の電通との関係も何だか怪しいというものです。この批判には理があります。
公共事業を民間に委託するということは、よくあることです。その際に、大きな事業の場合は民間企業1社では受託できないので、コンソーシアム(共同事業体)をつくって複数企業で実施することもよくあります。
こういう受託業務が繰り返し発生するならば、協議会のような固定的な法人を予めつくっておいて、そこでいったん受託したうえで、会員企業に再委託するというスキームもあります。
但し、本来事業で部分的に競合するところもある会社同士が、恒常的に組むことになるので、あまり多くはないと思います。もちろん、多少は問題もあります。
今回の持続化給付金事業は、経済産業省からサービスデザイン協議会が受託して、電通に再委託して、さらに電通がパソナなどの再々委託して・・という構造です。これ自体は、最初からこのように設定されていたわけで、問題にならないと思います。
尚、この協議会の会員は電通(計3社)、パソナ、大日本印刷、テー・オー・ダブリュー、トランスコスモス、日本生産性本部、セールスフォース、みずほ銀行の10社です。
今回の問題をややこしくしたのは、サービスデザイン協議会には民間事業者としての実態が無いのに、これをあるかのように取り繕ったからです。
そもそも、事務所は無人でもいいのです。この協議会が、全てを再委託して、何も仕事をしていなくてもいいのです。あたかも仕事をしていたかのように、急ごしらえの事務所を見せたりするからややこしくなります。
学者さんの理事長が、インタビューで「僕はお飾り。そんな事業を受託したことは知らない。説明責任は果たすが、内容は他の理事に聞かなければわからない。」と正直に話しました。それはそれで、よいのです。尚、この理事長さんは一昨日に退任されて、電通の執行役員さんが新しい理事長になりました。
但し、法律で求められていた公告を怠っていたのは拙かったです。まぁ、実態が無い法人ではよくあることです。決算公告しないと、会社法違反で100万円以下の過料ですが、大会社以外で実際には適用された事例はないと思います。テンピンの麻雀と同じです。
しかし、数兆円の国の事業を受託するのですから、法律は守っておくべきでした。高検検事長の賭け麻雀と同じです。
まとめると、いろいろ取り繕うから、やましいことがあるのだと疑われます。
まぁ、実際に多少は後ろ暗いところがあるから取り繕ったのでしょうが、こういうときは堂々としてなければいけません。あるいは、電通やパソナのプロに委託して、もっと完璧な舞台をつくって、プロレベルの役者を使って取り繕う法もありました。
電通・パソナ・みずほ銀行など10社コンソーシアムなのですから、ちょっとした国の政府くらいの規模があります。こそこそしないで、「どこかに何か問題でもありますか?」と応対していれば、野党もマスコミも騒ぎようが無かったと思います。