明心宝鑑にある言葉です。「世乱れて忠臣を識る」と続きます。家が貧しくなると、よく働く子供がいたことが知られるようになる。世の中が乱れてくると、国のために懸命に働く本当の忠臣が誰であったかがわかる。ということです。
新型コロナ禍にあって、大企業でも大幅な減収・減益に苦しんでいます。赤字になった企業も多数ありますし、今期の業績予想も過半数の企業が提出できないでいます。
中小企業の業績も総じて厳しくなています。業種によっては、会社そのものの休業が続いていたり、従業員の帰休やパートタイマーの雇止めをおこなっています。
こういうときこそ、親孝行な子や忠臣が目に見えます。会社で言えば、本当に会社のために仕事ができるのが誰だったかがわかります。
会社が好調のときには颯爽と仕事ができていたように見えた人が、逆境になったとたんに自信を失って右往左往することもあります。
ところが、こういうときこそ力を発揮する人もいるのです。私の勤めていた会社でも「有事の○○」と呼ばれていた人がいました。普段は無口で影が薄いのですが、何かのトラブルのときには人の何倍も仕事をこなすのです。
会社にとっての孝子や忠臣が誰であって、何ができるのかをしっかり見極めておくことが肝要です。そういう孝子や忠臣を大事にすることで会社は発展をしていきます。
さて、明心宝鑑は、1393年に中国(明)で編纂された名言集です。日本には朝鮮半島を経由して輸入されました。この名言集は、キリスト教布教のためにアジアに来ていた宣教師たちの目にとまり、スペイン語をはじめとして欧州言語に翻訳されて広く読まれたそうです。漢籍の書物としては、ヨーロッパで読まれた最初の本です。
明心宝鑑には「遠水近火を救わず」というのもあります。新型コロナ禍は、会社が火事で炎上しているようなものです。国の補助金など遠くの水を頼っても、火を消し止められそうにありません。地元のお客様など、近いところの水で助け合いするしかないです。もう一度、よく見ると意外に多くの水が近所にあるかも知れません。
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