事業継続計画に活かす企業同士のつながり

BCP(事業継続計画)に関わる仕事をする機会が増えています。

 

不測の事態として自然災害や感染症への備えが重要なことは当然です。また、こういった事態に関連した、行政や業界の混乱にも備えなければなりません。また、忘れてはいけないのが金融危機や経済危機への対応です。そして、いかなる不測の事態であっても考えておかなければならないのが企業同士のつながりです。

 

サプライチェーン
サプライチェーン

「6次の隔たり」という有名な仮説があります。

これは、あなたが知人①に、あなたの知らない知人②を紹介してもらい、その知人②にあなたも知人①も知らない知人③を紹介してもらうとすれば、これを6回繰り返した後の知人⑦のところで、全世界のすべての人とつながるという仮説です。

 

この仮説は、学問的に何度か検証されていて、概ね正しいようです。facebookの場合、任意の2人を隔てる平均の人数が4.74人と報告されています。

 

個人にとっての知り合いのネットワークが、わずか6次で世界全体に広がるように、企業の取引のネットワーク(サプライチェーン)も世界に広がっていきます。

事業継続にはこの企業同士のつながりが重要な要素を持ちます。あなたの会社がこのつながりから失われたときに困る会社があります。また、失われたときに代替する会社もあり、リンクを迂回することになるかも知れません。

 

事業継続計画では、次にような手順で企業同士のつながりを評価します。

先ず、サプライチェーン上の自社の位置と役割を把握します。そのうえで、直接取引している相手(1次のつながり)の状況を確認します。

 

次に、想像を膨らませて思い切り遠くの取引相手のことを調べます。自分の会社の存在意義を再認識することができます。本当は2次・3次と追っていきたいところですが、面倒なのでやめときます。豚骨ラーメン屋さんであれば、豚肉を仕入れる肉屋さんが1次ですが、畜産農家さんやその前の飼料農家さん、更にその前の種子業者さんのことも気になります。

 

この後は、同業他社や自社製品の代替市場について勉強します。豚骨ラーメン店を経営しているなら、同業の海鮮ラーメン店だけでなく、うどん屋さんやカレー屋さんも勉強対象です。

こうすると、自社が所属するサプライチェーンの全体が見えてきます。

 

ここまで調べると、サプライチェーンが伸びていく方向がわかり、そのサプライチェーンで重要な点(ノードといいます)が見つかります。事業継続計画だけでなく、経営計画の策定にも有効な情報分析です。

 

こうしてサプライチェーンのなかで、不測の事態においても欠かせないリンクがどれで、迂回可能なリンクはどれか、を予め知って準備をすることができます。

全世界はサプライチェーンでつながっています。不測の事態に遭っても、自社の事業継続に必要なチェーンを復旧することができるはずです。