ネット番組(テレビ番組)の出演者が、心無い誹謗中傷を受けて自殺しました。
若い女性でした。番組を見たわけではないのですが、収録して流しているので、何らかの演出や編集がされている映像です。いわゆる悪役というキャラクター設定になっていたのだろうと思います。結果が自殺というとても重いことになりましたので、誹謗中傷を投稿した人物を特定して処罰するべきだという議論になっています。
誹謗中傷とは、根拠のない悪口で相手のことを貶めたり、心を気づけたりすることですから、許されることではありません。
しかも、インターネットの世界では、匿名でおこなうことで、自分は安全な位置にいながら、一方的に相手を傷つけることが可能です。卑劣なことです。
さて、例によって会社の懲戒処分について考えます。
社員がインターネット上に匿名で社外の誰かを誹謗中傷するコメントを書き込んでいた。それも、一回ではなく長期間に渡って何度も書き込みをしたとします。もちろん、匿名での書き込みなのですが、何らかの理由でその社員が、他の社員によって特定されたとします。
その場合に、懲戒の対象になるでしょうか?
先ず、書き込みをしていたのが、勤務時間中の職場のパソコンからであったなら、懲戒の対象となります。また、勤務時間外でも職場のパソコンからであれば懲戒の対象になる場合がありそうですし、逆に社外のパソコンを使っていても勤務時間中であれば懲戒対象でしょう。
また、誹謗中傷の内容に所属する会社や関係者の名誉を傷つけるものがあれば懲戒処分の対象です。
さらに、営業情報や顧客情報を漏らすような情報が含まれていた場合も懲戒の対象になるでしょう。ここでいう情報は、秘密文書とか図面だけでなく、出張したときに撮った機械の写真なども該当するかもしれません。
しかし、そういうことが含まれていない、個人的な誹謗中傷の場合は会社としての懲戒処分は難しいと思います。会社あるいは従業員、会社の顧客に被害を与えていない場合に、懲戒処分とするだけの規定を盛り込んでいるところは少ないと思います。
逆に言えば、SNSの個人利用についてそれが不適切であった場合には懲戒の対象になることを規定に入れておく必要があります。また、そのことを社員が十分認識できていることも必要です。単に規定にあるだけでなく、教育していなければルールではありません。
それでも、SNSへの投稿で懲戒にするのは、被害と懲戒の重さのバランスを取るのが難しいので、なかなか容易ではないでしょう。また、懲戒に当たっては、弁明の機会を与える必要もありますので、結果の重大性と行為の軽さという問題にも突き当たりそうです。
とりあえずは、SNS利用規制とかSNS利用ガイドラインなどを会社でつくって、社員教育の一環として実行することがよさそうです。