他のメディアを信頼性が低いと指摘することの多い日経新聞ですが痛恨?の記事でしょう。
今日の朝刊『コロナ感染死、把握漏れの恐れ 「超過死亡」200人以上か / 東京23区2~3月 必要な統計公表遅く、対応策左右も』と、3面上段にかなり大きな記事を載せてしましました。私などの門外漢が見ても、おいおい!大丈夫か?って、ビックリです。
この記事に見出しをみると、東京都で200人以上が新型コロナ感染症が原因で亡くなったように誤認する人が出ます。
さらに、その事実を厚生労働省や国が隠蔽していたかのような印象を与えます。
さて、「超過死亡」とは何かです。日経新聞では「感染症が流行した一定の期間の死亡数が、過去の平均的な水準をどれだけ上回っているか示す指標。」と紹介しています。
しかし、この元データを提供している国立感染症研究所では「インフルエンザが流⾏していなかったと想定したときの死亡者数と範囲を統計学的な⼿法を使って推定し、実際の死亡者数と⽐較することで、そのシーズンのインフルエンザによる死亡者数を推定したもの。」となっています。全く違いますよね。
つまり、インフルエンザで亡くなった人を推定した数字なので、200人以上の超過死亡があっても不思議ではないです。そのシーズンの正式な超過死亡数が推定されるのは、通常は7月中旬です。シーズン中は速報値が2週間遅れで発表されています。
右のグラフが国立感染研が公表している東京都の超過死亡数の推移です。
2016/2017年シーズンから、今年のシーズンまでの4期ですが、毎シーズン超過死亡が発生しています。つまり、インフルエンザが原因で亡くなったと推定される人がいるということです。
今シーズンの超過死亡は現時点では速報値で確定値でないことには注意が必要です。それでも、日経新聞が書いた200人以上の超過死亡としても、過去3シーズンと比較して、今シーズンはずっと少ないのがわかります。
要するに、今シーズンはインフルエンザが疑われる肺炎で亡くなった人は例年より少なかったということです。この原因が何かは不詳ですが、少なくとも心配いりません。
「新聞にフェイクニュースはありません」はフェイクです。新聞に載っている記事でも全部は信用できないと思って読んでいます。まぁ、それでも、しばしば騙されます。