これまでも、会社が社員を懲戒処分にするには、慎重にするように伝えてきました。
もし、会社が社員が賭け麻雀をしたことを知るに至った場合に、社員を懲戒処分にすることができるかを考えてみます。賭け麻雀といっても状況がいろいろあるので、ケース分けしないといけません。
1. 賭け麻雀をいつ・どこでおこなったのか?
勤務時間中におこなっていたのであれば、懲戒の対象になります。
また、勤務時間外であっても、会社の施設内でおこなっていれば、事業の内容や場所によっては懲戒の対象になる可能性があります。
勤務時間外で、場所も社外でも、集合研修のための宿泊場所とか、災害などで重要な待機を命じられていた場合などは、ケースによっては懲戒の対象になるでしょう。
2. 賭け麻雀が賭博罪にあたるのか否か?
勤務との関連性が全くないか、乏しいかの場合は刑法犯に当たるかどうかが重要です。
「刑法第185条:賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」
賭博罪に当たって検挙されるようなことがあれば、懲戒の対象になります。
今回の高検検事長の賭け麻雀ですが、賭博罪に当たらないと判断されるのが”一時の娯楽に供する物”という記述です。相場として、1000点100円のレートは、一時の娯楽に供する物という範囲になっていて、検挙された例はありません。私は麻雀しないのでよく知らないのですが、一般的なレートとのことです。また、何年も同じメンバーで麻雀していたということで、店で異なる相手と賭け麻雀をしてお金のやり取りをしていたわけではないです。
日本の麻雀人口は約500万人ですが、アンケート調査によるとそのうち50%弱はお金を賭けてゲームを楽しんでいるそうです。もし、100円レートの人を検挙することになれば、年間200万人が対象になる可能性があります。しかし、最新の2018年の統計で賭博罪で検挙された人は165人にしかいません。
3. その他の犯罪でも検挙されないものもあります。
よく知られたものでは、ゴミを指定日時間以外に出すというのがあります。
「廃棄物処理法第二十五条:次に該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。第十六条の規定(何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない)に違反して、廃棄物を捨てた者。」
廃棄物処理法は多くの人が意識してか、無意識かはともかく違反することがあります。ある調査によれば、ゴミを指定日以外、指定日の前日の12時より前、指定日の収集が終わった後に出したことがある人は、全体の45%もいるそうです。この法律を厳密に運用すると、何千万人も検挙することができますが、普通はしません。町内会で見回りしたり、注意の看板を掲げたりして、極端に悪質な場合だけが犯罪になります。
会社で懲戒処分をすることは、ハードルがかなり高いです。対象行為の重大さと見合わない懲戒処分をしてしまうと、後々が大変になります。
参考の過去ブログ
2018/09/21/間違えないでください-退職金も賃金です