山口県内には24の道の駅があります。現在11施設が閉鎖され、7施設は時短営業です。3か所は駐車場も7閉鎖、5か所はトイレも事実上閉鎖されています。新型コロナ感染症対策です。
道の駅が開いていると人が来て感染症が広がるということで閉鎖なんだそうです。しかし、道の駅は単なる道路付属施設ではありません。山口県のように人口密度が低い地方では、道の駅は重要な防災拠点です。敷地は避難場所になります。施設が営業していれば、人もいますし商品もあります。トイレがあって入浴やシャワー施設も非常用電源やLPガスで使えます。
道の駅が防災拠点として大いに活躍したのが平成28年の熊本地震でした。地方の比較的広い範囲で被害が発生するような震災では、道の駅の防災機能が力を発揮します。
道の駅は、地方の幹線道路沿いにあって広い駐車場もあります。被災した人が避難しやすく、緊急車両や救援物資も集まりやすい場所です。道の駅の本来のサービスは、見方を変えれば優れた防災機能とも言えます。
市役所の職員に感染者が出たから役所全体を閉鎖したとか、警察官に感染者が出たから警察署やら留置場を閉めたとか、俄かに信じられないようなニュースが流れてきます。新型コロナウイルス以外の不測の事態は起こらないということもないので心配です。
また、道の駅を閉鎖してほしくないのは地場産品の販売所としての機能があるからです。地方では農家さんや漁師さんが収穫した産品を販売する場所として道の駅があります。小規模な事業主さんが加工品を販売する場所でもあります。繁盛している道の駅では、実は来店者の多くが地元あるいは隣接地域の人です。
道の駅が閉鎖されると直販に商品を出している事業者さんも困りますし、そこで食材などを調達している地元の人も困ります。そのほか、道の駅はたいていコミュニティバスの起点になっていますし、情報拠点としての機能もあります。ネットで情報を得られないような地方の人にとって、結構重要な場所です。
新型コロナウイルス感染症に関しては、リスクトレードオフについての視点が決定的に欠けています。一番リアルなリスクが何なのかを考える知恵が人間にはあるような気がします。
☞ 3.11東日本大震災に遭ったときに思ったのは、不謹慎ですが「2011年でよかったなぁ」でした。もしリーマンショックの翌年の2009年3月11日だったら、私は会社を潰していたでしょう。