実は、日本は今でも世界の主要国ではアメリカに次いで貿易依存度の低い国です。
日本の2018年の貿易依存度は29.3%です。2017年が27.3%、2016年が24.7%でしたから、随分上がっています。それでも、世界207の国と地域で184番目です。新型コロナという風邪に罹ることを恐れて、世界各国が閉鎖し孤立化しています。日本は世界第3位の経済規模がある国ですが、製造業の規模も世界第3位です。
要するに、日本は国内製造力が高く世界の中では比較的自国でものづくりが完結しやすい国の一つです。
もちろん、現代社会で一国が鎖国して全てを賄うなんてことはできないのですが、それでもその可能性が最も高いのは日本です。
数年前に製造業の国内回帰が進んだというか話題になった時期があります。先ず、中国での人件費高騰によるコストアップが課題となりました。そこで、東南アジア諸国に製造拠点を移したのですが、やはり人件費が上がってきてコストアップとなってきました。そこに、各国ともいろいろな政治社会的なリスクがなかなか解消されませんでした。
このところ、製造業の国内回帰は一段落(稼働率が2019年に下がった)だったのですが、今回の新型コロナで一気に加速していくと思います。もう、製造業の労働生産性の国際比較など言っておられません。マスク不足で思い知ったように、国際競争力の強化ではなく、どこでつくるのかということが大事です。
日本の製造業にはまだまだポテンシャルがあります。稼働率にも余裕がありますから、増産に舵を切れば国産品で賄える可能性があります。
ただ、製造業の国際分業が進んでいるのは、最終製品よりむしろ部材・装置です。中国からの部材輸入がないとトイレがつくれないというニュースが流れています。部材・装置の日本生産を増やしていくことが大事です。もちろん、これは可能です。幸いなことに、日本の製造業は中小企業が支えていますから裾野が広くて、意外と何でもつくれるのです。
たしかに中国は世界のものづくり大国です。中国の製造業の全体規模は日本の3.0倍もあります。ちなみにアメリカは日本の1.4倍しかありません。しかし、中国が世界で高いシェアを持っていて、中国がなければ絶対ダメというアイテムはそんなに多くありません。
課題は、パソコン・携帯電話・液晶パネル・プリント基板あたりですが、日本の需要を賄う程度であれば国内生産対応できると思います。
一方で、日本でなければ絶対ダメというアイテムは数多くあります。新型コロナ騒ぎが、ものづくり日本の復興のきっかけになりそうです。