BCPをつくるとき、「警戒レベル」を行動の目安にすることを皆さんに推奨しています。
昨年(2019年)3月に「避難勧告等に関するガイドライン」が改正されて、新たにつくられたのが「警戒レベル」です。気象庁あるいは自治体が、災害に対して住民がとるべき行動を直感的にわかるように5段階の警戒レベルとして提供するものです。
警戒レベル5は、既に何らかの災害がすでに発生している可能性が高い状況です。「命を守るための最善の行動をとってください。」という報道が耳に残っている人も多いでしょう。【以前の大雨特別警報や氾濫発生情報に近い】
警戒レベル4は、自治体が避難勧告を発令する目安です。住んでいる場所、働いている場所が災害が想定されている場合には、避難勧告が発令されていなくても自ら避難の判断をすることが求められています。【以前の特別警報や氾濫注意情報に近いレベル】
警戒レベル3は、自治体が避難準備・高齢者等避難開始を発令する目安です。高齢者等、避難に時間がかかるような人がいる場合には、予めの避難の判断をすることを求めています。【以前の警報に近いレベル】
警戒レベル2は、ハザードマップなどで、災害が想定されている区域や避難先、避難経路を確認してください。【以前の注意報に近いレベル】
警戒レベル1は、災害への心構えを高める必要があることを示します。最新の防災気象情報に留意しておきます。【早期注意情報】 概ね災害発生が予想される36時間前くらいに出されるものです。1~2日の準備期間を提供します。
警戒レベルの運用には、いくつかの課題があります。
宇部市では昨年8月29日7時に、小野地区の土砂災害警戒区域とその周辺に警戒レベル5を発令しました。これは、もちろん宇部市での初めての警戒レベル5の発令ですが、恐らく日本で初めての発令だったと思います(すみません、曖昧です)。
宇部市が警戒レベル5を発令したのは素晴らしいです。自治体が自前の情報をもとに警戒レベル5を発令できたことは評価に値します。ただ、基礎自治体の情報収集能力には差があるので、本来は警戒レベル5を発令すべきであったが、出来なかったケースも多いようです。
警戒レベル4も問題です。チラシにあるように「全員避難!」と大きく書いてあり、報道でも繰り返し「全員避難してください」とアナウンスされます。ただ、”これは災害が想定される場所にいる人”は、全員避難してくださいという意味です。
災害が想定されていない安全な場所にいる人は、当然ながら避難をする必要がありません。あまりに「全員避難」と言い過ぎたために、指定避難所に人が溢れてしまったという事態もありました。
以下は、省略しますが、警戒レベルを正しく理解して運用することもBCPのなかで取り組んでいくテーマです。