民法改正に合わせて契約書を確認しておきましょう

大規模な民法改正がいよいよ今年の4月に迫っています。特に債権法の改正は実に120年ぶりのことです。

 

現行の民法は明治時代の1896年に大日本帝国憲法下において初めて成立したもので、社会、経済の在り方は当時とは大きく様変わりしました。そのため、現代社会にそぐわない点を修正し、不十分な部分を補う必要が出てきたことによる改正ということです。

 

法律
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今回の改正では契約に関する条文もいくつか改正されています。新法が適応されるのは施行日である2020年4月1日以降に作られた契約書からですが、自動更新条項のある契約書の場合は4月以降に更新された時点から新法の適応が始まるため注意が必要です。

 

そうでなくとも今のうちに契約書の雛形を新しい民法に対応したものに変更しておけば、スムーズに新法に対応することができるでしょう。

 

改正条文は多岐に亘りますが、契約書を作り直すにあたって特に重要な変更点として、

① 「瑕疵」が「契約不適合」に

② 契約の目的の明記の重要性

の2点があります。

 

① 改正前の民法は「瑕疵」という表現を用いていましたが、改正民法では、「瑕疵」という文言は用いられず、代わりに「契約の内容に適合しないもの」(契約不適合)という表現が用いられています。

 

これは単なる言い換えではなく、この変更に伴って買主側の追完請求権(売買物の修補や代替物の引き渡しを請求する権利)や代金の減額請求権が明文的に認められています。

そのため従来の契約書で担保や損害賠償に関して定めている条項で「瑕疵」という言葉を用いている場合は、「契約不適合」に変更するのが望ましいです。加えて契約の不履行や遅れが起きたときの取り決めを、これを機に一度見直しておくといいでしょう。

 

② 「契約不適合」という表現が規定されたことで、契約を交わした二者の間で何かしらのトラブルが起きたときに、「その契約の目的と適合しているかどうか」が重要視されるようになります。

これによって、「なんのためにその契約を取り交わすのか」という点を事前に明確に文章で残しておくことが重要になりました。これまでは形式的に定められることが多かった契約の目的条項ですが、契約締結に至る経緯・背景・動機や意図・合意に至る前提条件などを細かく規定しておくと実際にトラブルが起こった時に役立つでしょう。

 

今回の民法改正ではこれ以外にも法定利率の変更や債権譲渡の見直しなどの多くの変更点があります。仕事や取引に直接関わってくる条文改正もあるため、各人が改正民法について知っておくことが大事になるでしょう。

法務省のホームページでより詳しい説明資料があるため、気になる方は一度目を通すことをお勧めします。

 

法務省:民法の一部を改正する法律(債権法改正)について