テレビで○田さんがよく言う話です。「温暖化で収穫が増えるからいいじゃないか!」。
実は、これは概ね正しいのです。地球温暖化の原因は二酸化炭素です。大気中の二酸化炭素濃度は年々上昇しており、30年前に350ppmだったものが現在は410ppmまで増えています。植物は光合成をして成長するわけで、二酸化炭素濃度が高いことは光合成の原料が豊富にあるということになるので、作物の成長を早めることになります。
但し、これには条件があります。光合成の原料は二酸化炭素と水ですから、水が豊富にあることが前提です。温暖化によって干ばつが起きれば、作物の収穫は減ってしまいます。
日本では、毎年大きな災害につながる集中豪雨が頻発しているので、温暖化すると雨がたくさん降るというイメージを持っている人が多いです。
ところが、日本でも年間降水量が増えているわけではないのです。1日雨量が922.5㎜と日本記録(2011年に高知県で851㎜だった)を大幅に更新した箱根ですが、昨年1年間の合計雨量は4745㎜です。平年よりは多めですが、過去30年では3番目です。
温暖化は雨量を増加させるのではなく、あるときに集中して雨を降らせるので、必然的に干ばつも多くなるのです。
もう一つ、植物はその一生の間で常にどんどん成長しているわけではないのです。発芽して、花をつけて、受精するという段階には、適当な温度や湿度の条件があります。例えが適当ではないかも知れませんが、生まれたての赤ちゃんを温かい部屋に入れたままミルクを飲むだけ飲ませても、丈夫で大きな大人にはならないのです。
温暖化と作物の収量の関係は、いろいろ複雑です。そもそも、あまりに高温では、農業に従事する人間のほうが働けないということもあります。
最初の○田さんの話に戻れば、農業用水を十分に確保できるという条件下で、機械化(冷房のついた農機とか)生産できる、米や小麦には概ね当てはまると思います。それ以外の作目では、まさにケースバイケースです。