環境問題でよくある誤解が、経済が発展すれば森林が減っていくというイメージです。
温室効果ガスの排出に起因する地球温暖化に対抗する手段としては、二酸化炭素を吸収する森林を育成し増やしていくことが重要です。経済が発展することによって森林が破壊されていくというイメージを持ちがちですが、実は逆です。経済が高度化することで、生活圏の近くの森林資源を野放図に使わなくなるので森林は復活していきます。
日本は森林面積が国土の68.5%を占める世界でも有数の森林国です。
国土に占める森林面積の割合が日本より高いのは、主要国(OECD加盟国)ではフィンランドだけです。
国土の2/3以上が森林なので、日本の森林面積は増やすことはできません。右上のグラフにあるように、戦後はずっと同じです。
右下のグラフは森林面積ではなく、森林蓄積を示します。単位は百万㎥です。
これは、森林にある樹木の幹の体積を合計したものです。50年余りの間に3倍近く増えていることがわかります。特に、人工林に限れば6倍です。
これは、日本の林業が衰退して、本来使用されるべき森林資源が未利用のまま山に残された結果ということです。しかし、森林蓄積は温室効果ガスである二酸化炭素を固定した結果でもあります。
これからも、日本の森林を保全していくことは、地球温暖化対策に重要です。そのためには、実は林業の再興が求められます。戦後に植林された人工林が70年近くの年を経て限界に近づいています。適切な間伐をおこなったり、森林資源利用によって新たな植林をしていかなければ、森林を守ることができません。
森林は、度重なる豪雨災害でも被害を緩和する重要な役割を果たしました。日本の林業を森林整備という観点からも振興することは大切です。
無茶苦茶な仮定ですが、日本の森林が全て燃料として利用できるなら石油の輸入は不要です。
もう少し常識的な話としては、毎年森林資源の0.5%をバイオマス燃料として使用することで、石油輸入量が15%くらい減ります。つまり、少し視点を変えれば、日本には森林資源という巨大油田が存在するということでもあります。