昨日は、このところ、紙の使用が”環境に悪”から”環境に善”に入れ替わったと書きました。
そうなると、紙の使用を制限する理由がどこにあるのか、ペーパーレスはどういう目的があるのか、ということになります。考えてみると、ペーパーレス=書類の電子化のメリットは「検索が容易である」、「保管のスペースが小さくて済む」の2点になりそうです。
日本での紙の需要は確かに減ってきています。2013年の紙の生産量は1592万トンだったものが、2017年には1426万トンになっています。2013年を100とすると、2017年は89.5です。
減少の割合が大きいのは新聞用紙で、325万トンが276万トンと84.9になっています。これはニュースはネットで読めば十分という若い世代の人が増えていることと、新聞を読むのも辛くなっている高齢者もいるからだと思います。
一方で、PPT用紙(コピー用紙)に代表される情報用紙は134万トンが135万トンとむしろ増えています。どうも、ペーパーレスには向かっていないようです。
これは、紙にはデジタルに置き換えられない大きなメリットがあるのです。
紙の最大のメリットは記録としての長期保管ができるということです。
紙に書かれた情報で最も古いものは1700~1800年前のものが残っています。最近でも800年前に書かれた源氏物語お写本が発見されたことがニュースになりました。
デジタル記録はその記録媒体そのものの寿命が確立されていないうえに、システムが進化することによって過去のシステムが使えなくなるリスクが常にあります。
また、視覚的な認識という課題もあります。最近のオフィスでは一人で複数のディスプレイを
机の上に展開している方が増えています。マルチウィンドウでの展開も容易になっています。しかし、テーブルに紙を広げて議論するときの同時性に優ることはやはりできないでしょう。
やはり、なかなかペーパーレスにはならないと思います。