印刷会社に勤める中堅の方が、これからはペーパーレスが一層進んで印刷業はもっと斜陽になるのではないか、と心配されています。
個人的な感想ですが、ペーパーレスにはならないと思います。確かに、社内外のやり取りは電子メールになり、議事録や面談報告はイントラネットにデジタルデータとして記憶されます。オフィスはペーパーレス化の最前線のように思われます。しかし、これは誤解であり、紙の無いオフィスは都市伝説のようなものじゃないでしょうか。
環境問題、特にISO14001などの環境目標では「紙・ゴミ・電気」と言われるように紙の減量をテーマにすることが多いです。
紙の使用を減らすことが環境改善につながるというわけです。もちろん、コストダウンという効果もあります。
紙は木材から生産されるので、森林の破壊につながり二酸化炭素の吸収を減らすという意見があります。
しかし、木材の使用量は住宅や家具として使用されるほうが数倍も大きいのです。更に、紙の生産に使われる木材は曲がったりねじれたりして住宅や家具にならないものや、端材や間伐材などが使用されます。
紙の環境問題としては、木材より製紙工場による環境汚染が大きな課題でした。製紙には、大量の水とエネルギーを使用します。さらに木材を繊維にするのにアルカリで煮たり、硫黄化合物を使ったり、漂白に塩素を使用しているためダイオキシンが含まれるヘドロが沿岸に溢れて、海の生態系にも影響を与えていました。
もちろん、現在の日本を含む先進国の製紙工場では、高度な対策が実施されていて、環境負荷は大幅に軽減されています。
むしろ、現在では海洋プラスティックが環境問題としてクローズアップされたことから、紙が天然素材であって環境にやさしいという印象になっています。
我々以上の年代では、紙は環境に悪い影響があるというイメージが確立されているので、ちょっと違和感があります。しかし、現在の紙・製紙は環境面でプラスになってきているというのが、正解です。
環境目標に紙を入れるのはナンセンスになってきています。
(以下は、明日に続く)