「石炭火力はセクシーではない」は日本の場合はあまり当てはまりません。
国連での16歳の女子高生が「あなたたちを許さない」という訴えに心を動かされた人も多いと思います。彼女の行動がノーベル賞に値するかは疑問ではありますが、地球温暖化をボ~っと眺めているだけでは許されません。そのなかで、石炭火力の割合が高いと日本もひどく批判されていますが、ちょこっと反論しましょう。「日本の石炭火力は結構セクシーなんですよ。」
最初に抑えるべきことは、日本は世界で最も省エネルギーが進んだ国であることです。
実質GDP当たりのエネルギー使用量で、日本を下回るのはイギリスくらいです。日本を1とすれば、ドイツ・フランスは1.2、アメリカは1.8、韓国は3.1、中国は4.4、ロシアは6.3です。
その日本では1次エネルギーに占める石炭の割合が25%を超えています。米国や欧州諸国が15%くらいなので、10ポイントほど高くなっています。
日本は、石炭以外では石油が39%、天然ガスが23%、水力や再生可能エネルギーが11%、原子力1%です。原子力は以前は12%を超えていて、鳩山政権では原発比率50%(電力)を掲げるほどでしたが、東日本震災以降は稼働が抑制されています。
石炭火力が温室効果が高いのは事実です。
単位熱量当たりの温室効果の比較をすると、石炭:石油:ガスで10:7.5:5.5の割合になります。つまり、天然ガスに比較して石炭は約2倍の温室効果があります。
但し、これは一般論で日本の最新石炭火力は世界の平均より10%以上高効率なので、10は9になります。なんだ、やっぱり温室効果が高いじゃないかと言われるかも知れませんが、世界の一次エネルギーに占める石炭の割合は27%です。つまり、欧米では石炭割合は下がっていますが、それ以外の国では石炭が主流です。
日本の石炭火力発電所の技術を世界に展開すれば、計算上は日本の排出している温室効果ガスはゼロになります。クールでセクシーでしょ。
また、太陽光や風力が頼りにならないことは既に実感されていると思います。そんななかでも、日本で導入できる再生可能エネルギーとしてはバイオマスがあります。バイオマスをエネルギーにするのは、石炭火力発電所なんです。いわゆる混焼(石炭とバイオマスを混ぜて燃焼させる)発電です。この技術も日本独自のものでクールでセクシーです。
また、PM2.5やSOxなど大気汚染が中国や韓国発で問題になっていますが、この点でも日本の石炭火力発電は1桁クリーンです。北京やソウルはもとより、ロンドンやニューヨークと東京の空を見較べてみましょう。一目瞭然です。
まぁ、本音で言えば、日本が輸入する石油は87%が中東からのもので、安全保障上頼り切るわけにいきません。石炭も72%がオーストラリアからの輸入ですから、こちらも不安はありますが現状では石油・石炭・ガスのバランスを取らざる得ないというのが避けられない事情です。