朝、出掛けにテレビで流れていました。「栗は、A果物・B野菜・C穀物のどれに当たるか?」
なかなか難問です。解答はA.果物です。これは農林水産省の定義です。2年以上栽培する植物で果実を食用にするのは果樹、1年栽培するものは野菜です。栗や梅はくだものになって、メロン・スイカやイチゴは野菜です。ちょっと、実感とは違います。メロンはくだものやさんで買いますが、栗や梅はくだものやさんではなくて八百屋さんにあります。
農水省の定義を無視して、メロン・スイカ、イチゴも含めたくだものの生産、果樹栽培はうまく経営できれば農業分野でも収益性の高い事業です。
ただ、なかなか難しい問題があります。
最初の問題は、日本人がくだものをあまり食べないということです。特に若い世代のくだもの消費が少ないのが課題です。1日200gのくだものを摂取するという健康面からの推奨もあるのですが、欧米や東南アジアの人と比べて、日本人のくだもの消費量は半分以下です。
さらに日本ではくだものは嗜好性が高いので、消費者の好みが変わります。ところが果樹は桃栗三年柿八年で、植え付けから成樹になって品質の良い果実が収穫されるまで長い時間がかかります。移ろいやすい消費者の嗜好を予想するのはたいへんです。
温暖化による栽培好適地の移動も大きな問題です。みかんやリンゴといった、日本の代表的な果実でも栽培好適地が北へ北へと移動しています。高温化の影響は、着色障害やみかんであれば浮皮などを引き起こします。
果樹農家もいろいろ手を尽くしています。単収を上げるワイ化栽培、昆虫による受粉での省力化。さらには、ナイフを使えない人でも食べられるような小粒で丸かじりできるリンゴ、渋みが無くて皮ごと食べられるブドウなど、若い人向けのものも市場に出ています。
個人的には、東南アジア向けの輸出が増えることを期待しています。今は、果実の輸出と言えば台湾向けが大半なのですが、その先の市場は巨大です。例えば、日本にいるベトナム人の方に聞くと、みんな日本の果物が大好きです(但し、ちょっと値段が高い)。
果物が食生活に欠かせないアジアの国ですが、食べられているのは熱帯果実がほとんどです。温帯にある日本の、リンゴ・みかん・ブドウ・イチゴなどは、貴重です。そして、食べると熱帯果実と違った味わいに驚きます。
日本が果樹生産大国になるといいなぁと思っています。