宇部では2年に一度、野外展示の現代彫刻展「UBEビエンナーレ」が開催されます。
「UBEビエンナーレ」は1961年にはじまりました。ビエンナーレ(隔年開催)で、今年が28回目です。UBEビエンナーレは世界で最も歴史ある野外彫刻の国際コンクールです。今は、1次審査の段階ですが、応募総数318点(国内229点/海外89点)・応募国数42か国(日本含む)で、応募国数も毎回増えています。☞「UBEビエンナーレ(公式サイト)」
UBEビエンナーレは56年間に渡り、在り方をあまり変えることなく続いています。公募コンクールという形態で、有体に言えば、あまり大きな費用がかかっていません。
現在、318の作品が応募されて審査中です。これは作品模型か線画によって提出されたものです。このうちから審査を通過した18作品が実物製作されて二次審査となります。
1等の大賞(宇部市賞)が500万円、2等(宇部興産賞)が400万円、これに市民賞の200万円、毎日新聞社賞の150万円があります。まずまず立派な賞金に見えますが、これは彫刻作品(作品模型や線画も含む)の買い取り費用です。宇部市が購入して恒久展示します。とてもこの値段ではつくれないだろうと思われる作品ばかりです。
宇部市以外にも、宇部興産などの企業や学校の同窓会などが作品を購入して野外展示することもあるので、今では宇部市内に200以上の野外彫刻があります。人口17万人の地方都市ですから、あっ!ここに、えっ!こんなとこに、というくらい、あちらこちらで野外彫刻を見ることができます。素晴らしいことだと思いませんか?
UBEビエンナーレにはどのくらいの効果(経済効果)があるのかは、正確には把握できません。入場料を取るわけでもありませんし、作品を鑑賞した人数もわかりません。宇部市を訪れる旅行客がどの作品に関心を持ったかも、再訪の動機になったかも不明です。
しかし、投資に対するリターンという意味では満足できる結果が出ています。芸術に触れることで得られる、気づきといった無形効果はプライスレスです。宇部市や宇部興産の信頼性を高めて、ブランド力を高めています。
突然、UBEビエンナーレのことを書いたのは「あいちトリエンナーレ」が話題になったからです。トリエンナーレですから3年に1回の開催です。前回の開催では、費用が13億5千万円(内、愛知県が8億8千万、名古屋市が2億2千万円:県民市民が1人150円くらい負担している計算)で、事業収入が2億5千万円でした。
永く鑑賞に堪える作品だけが芸術とは言いませんが、これが芸術なのか?と疑問に思わざるを得ません。開催期間中は毎日1万人以上の集客ができるイベントだそうで、確かに賑わいにはなるのでしょうが、内容に議論の余地があります。
おいでませ、山口へ!