人間が快適に過ごせる湿度(相対湿度)は50%くらいで、高くても低くても不快です。
日本では湿度が常に高くて、不快なほど湿度が低い状況は稀です、山口県の場合は冬場の湿度の平均値が65%くらいで、夏場は80%を超えます。大雑把に言えば、高緯度になる北海道の真ん中は湿度が低い時期が長く、低緯度で海に囲まれた沖縄の方が湿度が高い日が多くなります。山口県は中間です。
温度計よりも湿度計の方が古くから考案されていて実用もされていたようです。
このブログではおなじみの「淮南子」に、炭を天秤に載せて湿度の違いを測る湿度計が紹介されています。これは紀元前150年頃の文献です。
欧州では、レオナル・ド・ダヴィンチが羽毛を天秤に載せた湿度計のスケッチを残しています。
これらの湿度計は、空気中の水分を吸って炭や羽毛が重くなることを利用しています。
その後、実用的な湿度計として毛髪湿度計が使われるようになりました。毛髪が、水分を吸うと延び、乾くと縮むという性質を利用したものです。
北ヨーロッパの若い女性の金髪が最も精度が高いという記述もありますが、ちょっと眉唾な感じがします。
私たちの世代では、湿度計といえば写真にある乾湿球温湿度計がお馴染みです。2本とも同じ温度計なのですが、片方には容器に水を入れてあり、水を吸い上げたガーゼが巻き付けてあります。湿球温度は水が蒸発するときの気化熱によって、乾球温度より下がります。その差によって相対湿度を知るというものです。何とも面倒なのですが、当時はどの家にもあって、容器に水を入れるのは子供の仕事でした。
現在のデジタル湿度計は、電極間の感湿材が水を吸うと電気が流れやすくなるという原理で測定されているようです。
温度と同じように、湿度も測れるようになった(「見える化」した)から、よけいに蒸し暑さが増すのかも知れません。風鈴の音が暑さを緩和する理由を解説したテレビ番組を見ましたが(うっかり理由は忘れました)、温湿度や風速などの物理的な数値だけでは測れない暑さもありますものね。