NHKのブラタモリが人気です。タモリさんの地形や岩石など地学の知識に驚きます。
現在では、プレートテクトニクスという言葉は誰でも知っています。私たちの住む地球はがっちりと固まったものではなく、やわらかいもので、対流するマントルの上にあるプレートが動いています。この動きが巨大地震を引き起こします。一方で、3億5千万年前に赤道付近にあったサンゴ礁が秋吉台となって山口で見ることができます。
プレートテクトニクス以前に、地球が動いているということに最初に気づいたのがドイツ人のウェゲナーという人です。
世界地図を眺めていて、向き合っている北アメリカとヨーロッパ、南アメリカとアフリカの形がピッタリ合うことに気づいたのです。
そこから発想したのが、大陸はもともと一つであったものが長い年月をかけて別れて移動したという大陸移動説です。
ウェゲナーがこれに気づいたのは1910年のことで、それほど古い事ではありません。ウェゲナーの大陸移動説は20世紀の自然科学の金字塔(もしかすると最大の?)です。
しかし、着想としてはそれほど奇抜でもないような気がします。それまでに何億人もの人が同じように地図を眺めていたのに気づかなかったのか?という疑問も湧きます。
これはプレートテクトニクスまでが常識になっている現代人だから言えることで、100年前の人は地面が動いているなんてことを夢にも思わなかったのです。
ウェゲナーは1915年(大正4年)に大陸移動説を論文「大陸と海洋の起源」として発表したのですが、当時の学会では受け入れられません。大陸が移動するという原因が説明できなかったのです。ウェゲナーは1930年(昭和5年)に大陸移動の根源を探るため探査していたグリーンランドで亡くなります。この時点でも大陸移動説は否定されていたのです。
世界が大陸移動説を受け入れることになったのは、皮肉にも第二次世界大戦によるものです。ウェゲナーの母国ドイツは潜水艦Uボートを開発して連合国の艦船に大きな打撃を与えていました。これに対抗するため、アメリカ軍は大西洋の海底の地形図をつくることになります。
そのとき、はじめて大西洋の真ん中に大きな山脈があることがわかりました。大西洋の真ん中でマグマが盛り上がり、東西に動いていることが確認されたのです。