平成以降最悪の放火事件ということです。30人以上が亡くなり、30人以上が負傷。
「キョウアニ」と聞いても、何のことかわかりませんでした。「ハルヒ」に「ケイオン」といわれてもポカンとするだけですが、京都から世界中の人々に優れた文化を提供している会社であり、創造性に溢れた方が集まっている場所だと知りました。捕まっている犯人が放火という重大な犯行に至った事情はわかりませんが、酷く悲しいことです。
GoogleEarthで検索してみますと、写真のような建物です。3階建てで延床面積が700㎡ということです。
法律上は事務所という扱いです。窓もあり、ベランダもついています。2007年の建築で消防法上の違反はなかったということです。屋内に2カ所の階段があり、うち1つは”らせん階段”でした。
火災は、1階の玄関に侵入した男が、40リットルのガソリンをばら撒いて、ライターで火をつけることでおきました。このとき、建物内では75人が作業をしていたということです。火災から逃げられたのは7人だけで、ほとんどの方が亡くなられるか、負傷されました。
ガソリンや灯油などを撒いて放火するというのは、最悪の犯罪で対応が最も難しいです。ガソリンを撒くと床面に広がります。着火した場合は、この拡がった面積が大きいほど炎が高く上ります。直径1m(といっても量は1リットル未満)で火炎は5m以上になります。
吹き抜けの”らせん階段”の下に撒いていたとすれば、3階まで一気に火炎が到達します。
さらに、ガソリンは蒸気になって可燃性混合気を形成します。閉囲な空間では混合気に着火すると火災ではなく爆発(燃焼)が発生します。実際に、今回の放火では爆発がありました。
また、これは確定した情報ではないのですが、被害者のなかには火炎や爆発の影響ではなく一酸化炭素中毒によるものもあったようです
ガソリンを撒いて放火されるという事態を防ぐには侵入を防止するほかはありません。玄関を施錠しておくとか、受付の人を置くとかですが、現実には難しいです。そうなると、命を守るためには逃げるしかないです。
50人以上×500㎡以上ですから、建物は防火対象物で甲種防火管理者が選定されています。写真でみると居室面積の1/20の採光面積(窓)がありそうですから、60m以内の距離で2カ所の避難経路があれば足ります。法律的には完全にクリアされています。
複数の避難経路があっても使えなかった、窓はあったが使えなかった、ということを考えないといけません。爆発によって瞬時にして動けなくなったという事情もあったのかも知れませんが、避難経路が有効かどうかを再確認する必要がありそうです。
事務所や工場で防火管理者に任命されている人は、今一度確認をしてください。私も防火管理者を務めていた時期はあるのですが、法律に違反していないかを確かめる程度で、そこまで真剣にチェックしていかというと、自信がありません。