後10日で投票日を迎える参院選挙ですが、あまり盛り上がらないまま中盤戦です。
結局のところ、立憲民主党も国民民主党も、自由民主党との対立軸を明確に示すことができません。みんな民主党ですもんね。もう一つの社会民主党は政党に止まれるかの正念場となっています。そんななか、ぼんやりした争点に消費税の増税を延期するという議論があります。
10月1日まで2か月半を切っている段階で、今さら消費税増税をおこなわないなんて、現場的にはあり得ません。
既に、消費税増税を前提にした取引や、各種の施策がおこなわれており、延期なんかすれば混乱が増すばかりです。
理屈の上では、増税しない可能性がゼロということは言えないのですが、ここに至ってリーマンショック級もないものです。もちろん、大震災とか大水害とか隕石の衝突とか可能性がゼロとはいいませんが・・・。
そんなグダグダの消費税増税の議論ですが、結果として日本の景気によい影響を与えそうです。
これまでの消費増税では、増税後に一時的に景気が縮小する局面が来ました。その大きな要因が、増税前の駆け込み需要拡大からの反動減でした。
ところが、今回はこの駆け込み需要が目立って大きくなっていません。販売側の事業者のほうも、消費税増税対策で補助金が出るのですが申し込みが低調です。何となく、半信半疑のままで増税の日を迎えそうです。
駆け込み需要が盛り上がらなかったということは、反動減も無いということです。今回の参議院選挙で与野党が消費税増税を取り上げたのは、一致協力して景気を維持しようとする高等戦術なのかも知れません。
ところで、消費税を上げるのは正しい選択肢と思います。そもそも、民主党(野田政権)の政策だったのではないでしょうか?
選挙用のアジ演説に反応するのも大人げないのですが・・
景気が落ち込みかも知れないから、消費税を上げるのは見送るべきだという理屈は成立しません。誰も景気の先行きを見通す神通力を持っていないので、この理屈では永遠に消費税を上げることはできません。
裏返して、このところ景気がよくて税収が増えているので消費税を上げないでよい。また富裕層などの所得税を上げればいいという理屈は、それでは景気が悪くなれば消費税を上げていいのかという問いに答えがありません。
左寄りの人はすぐ資産課税(預貯金や株式などストックへの課税)をすればいいといいますが、資産を持っているのは高齢者です。高齢者は勤労所得が無いのでストックに頼るわけです。せっかく不足すると言われる2000万円の貯金をしたのに課税されていいですか?
安定財源としての消費税が必要なのは、社会福祉支出が安定支出だからです。景気が悪くて、税収が減ったから年金支給を減らしますということはできません。
年金を賦課方式から積立方式に変えればいいという人もいますが、現実的な切替の方法を提案できる人はいません。机上の空論にもなっていません。
消費増税への準備が遅れている事業者さんが多いのは心配です。そろそろ、真剣に取り組んでいきましょう。