酸化鉄メーカーで働いていた頃は鉄分は不足どころか過剰摂取していた?かも知れません。
日本では食事からの鉄分摂取量が減っていることもあって、鉄分不足≒貧血症の人が増えています。特に40歳代の女性では1/2が鉄分不足で、1/4が貧血症だそうです。治療には鉄剤などで鉄分を補給します。勤めていた頃に産業医の先生から、鉄は仮に過剰に摂取しても自然に排出されると聞いていました。しかし、・・・
陸上競技の長距離選手(特に女性)で鉄剤の過剰摂取が問題になりました。
この場合は、鉄剤を経口ではなく注射するということで特に鉄分過剰になりやすいわけです。鉄分過剰の弊害として、臓器に鉄沈着を起こす、その後の鉄分吸収を阻害する、リンを排出して骨が弱くなるといった懸念があるそうです。
また、昔の話ですがヨーロッパ人が新大陸や島国の先住民に病弱で貧血が多いことから、鉄剤を使って治療を試みたことがあるそうです。すると、確かに貧血は治ったのですが、先住民の間に重大な感染症が蔓延して多くの人が亡くなりことがありました。
それらの地域にはウィルスや病原菌がもともとたくさんあったのです。しかし、感染が広がらなかったのは住民が鉄不足だったからでした。鉄は人間だけでなく、ウイルスや細菌を含む多くの生物にとっても大事です。鉄分を補給して白血球内の鉄分濃度が上がり、体内に入ったウイルスの増殖を促す結果になったというわけです。
まぁ、何でもやり過ぎはいけないということなんですが、こういう特別な場合を除けば基本的には鉄分不足している人が多いわけです。また、普通の人は過剰摂取を怖がる理由もありませんから、鉄分豊富な食材を意識的に摂るほうがよさそうです。
牛や豚、まぐろなどの赤身肉、レバーなどの内臓、同じ理由で貝類や小魚、濃い色の野菜や海藻、豆類などは意識して食べるようにしましょう。
滋賀県(近江八幡や草津など)には赤こんにゃくという酸化鉄を練り込んだこんにゃくがあります。鉄分補給にも最適ですが、味に癖がなく、もちもちした食感で人気です。