金融庁の有識者ワーキンググループがつくったが、政府が受け取らないといった報告書です。
ちょっと読んでみました。若い人には実感がないでしょうが、1年半で60歳になる私にとってはピッタリの内容です。1ページ目に、現在60歳の人が90歳まで生存する割合が25.3%、100歳までの割合が8.8%とあります(2015年推計)。なるほど、人生100年時代というのが現実のことなんだなぁと感じます。いや~恐ろしい。
WGは座長が学習院大学教授の神田氏。常任メンバーは東大教授2・早大教授・慶大教授・読売新聞論説委員・新日鉄住金役員・野村総研研究員・証券OBで構成。
右の図が、年金2000万円問題の発端となった図です。厚生労働省のワーキンググループがつくったものを、金融庁のWGがそのまま使ったわけです。
65歳以上の夫婦2人の無職世帯の平均収入が月額209,198円、平均支出が263,718円なので、月に54,520円が不足する。
95歳までの30年間をずっと無職で、この生活を続けていくなら54,520×360月なので19,627,200円≒2000万円が不足するという説明です。
報告書では、ご丁寧にこの対応策をいくつか示しています。
(1)65歳を過ぎても働いて2000万円稼ぎだす方法。実際、日本の65~69歳の男性の55%が働いています。しっかり働けるスキル(ITがお奨め)を身につけましょう。
(2)退職金を運用する方法。平均では1700~2000万円が支給されます。少し足らないのですが、運用で2000万円にすることができますよ。
(3)金融資産を取り崩す方法。平均では夫婦の金融資産が2252万円あるので、これを取り崩して2000万円を補填できますが、残り少なくなるので運用で賢く増やしましょう。
要するに、国民に資産運用など金融リテラシーを持ってくださいね、と要請する内容です。
金融庁の役割からすれば、当然なのでしょう。
まぁ、そもそも論として平均支出の月26万3千円がどうか?と思うのです。
普通に生活していて、95歳までこの支出水準を続けることはとても考えられないです。これだけ元気であれば幸せですね。
ついでに乱暴な計算(×360月)をすれば、収入のうち社会保険給付が6900万円になります。消費支出の合計が8500万円です。平均的な社会保険納付額は3200万円ほどです。但し、会社が半分負担しているので個人納付額の平均は1700万円くらいです。個人の生涯ベースでは1700万円が6900万円になるわけです(但し、95歳まで生きていれば)。
まとめると、今の我々世代が夫婦で元気に95歳まで生きる(65歳以降は働かない)なら、上のようになるわけです。不安というより、むしろ安心ですよね?
問題なのは若い世代ですが、その答えも見つかってきています。・・これは別の機会に。