老後の年金が2000万円不足するという話で、にわかに盛り上がっています。
年金という制度、特に”100年安心”以降の年金の仕組みについての理解が不足しているようです。大規模?な「年金返せ」デモがあったそうです。まぁ理由は何でもよくて、ただ集まって騒ぎたいだけの人たちのような気もしますが、この人たちに年金を返してあげれば年金制度は更に盤石になります。法改正をして、さっさと年金を返してあげる?
日本の年金制度では、支給される年金の約半分は税金で賄われます。また、税金のなかでも、特に消費税が充当される立て付けです。
簡単にいえば、年金の掛け金として支払った額以上が支給されることになっています。
但し、条件が一つだけあって、早くに亡くなるとダメです。厚生年金加入者の場合、65歳から年金を受給すれば72歳まで生きれば元がとれます。72歳を過ぎれば過ぎるほど、掛けた金額を超えてきます。もちろん、物価が違う。貨幣価値が違うという人もいるでしょうが、我々世代の実感では大して問題ではありません。
実は、年金制度を危うくしているのは、予想を超えて寿命が延びていることなんです。
簡単に言えば、長生きすればするほど受給者は得をします。逆に言えば、年金制度側は長生きされれば損をするということです。制度が損をするのに破綻をしないのは、税金で補填される仕組みになっているからです。しかも、その税金は景気に左右されやすい直接税ではなく、変動が抑制される間接税(消費税)が使われます。
したがって、「年金返せ」という人に、これまで掛けた年金をお返しすれば(もちろん、年金を支給しないということ)年金制度は助かります。
確かに「年金制度は破綻する」と信じている人もいるわけですから、希望者にはこれまでの年金をお返しする(物価スライドをつけてもいいです)という制度を創設するのは有効かも知れません。そうすれば、年金制度はますます安心です。
ただし、そんなことすれば、どんどん増える高齢者の生活保護受給(現在、約84万世帯)が加速される懸念があるので、無茶はできません。生活保護費のほうが、年金受給額より多くて、且つ付帯サービスも手厚くて(社会保険が免除とか公共交通の割引とか)有利だ(不都合ながら、これは真実です)なんてことが広く知られると、どんどんややこしくなります。