雇用なのか賃金なのか

「雇用」なのか「賃金」なのか、目指す方向性を決めかねています。

 

ざっくりした話になりますが、「雇用」と「賃金」を両立させることはできません。完全雇用を実現しようとすれば低い賃金で雇用することは避けられません。平均賃金上昇(最低賃金の増額を含む)を達成しようとするなら、完全雇用は遠ざかります。

 

雇用理論
雇用理論

最低賃金をまたまた引き上げるという話が、聞かれるようになってきました。地元の中小企業の経営者さんから、困惑の声が聞こえてきます。

 

中小企業の経営にとって重大な問題であると同時に、働く人にとっても由々しき事態です。少し誤解を恐れずに書けば、最低賃金に見合わない労働を提供している従業員は働く場を失ってしまいます。

 

実際、1時間に802円(山口県の最低賃金)以下の付加価値で働いている人もいるのです。のんびり、ゆったり、やりたいときにやり、休みたいときに休む。仲間とおしゃべりしながら、ときには子供の面倒をみながら、なんて職場は地方にはたくさんあります。

 

そういう人にとっては、最低賃金の増額は迷惑でしかないのです。1時間に1000円分の仕事なんてやりたくありません。生産性の向上なんて、関係ないのです。

バリバリ働く人には、たくさん賃金を払ってください。そうでもない人にまで、高いお給料を強制しないでください。確かに、もらうお金が増えたのでちょっと嬉しかったですが、そろそろ限界です。これ以上になると、もう来ないでいいよと言われそうです。

 

一方で、もっと賃金をもらっても当然の人もたくさんいます。生産性をずんずん伸ばしてきている人や組織は増えています。会社は、その働きに見合った賃金を払うべきですが、ため込んで払いません。内部留保を貯め込み過ぎだという批判は当たっています。

 

企業が賃金を上げない理由は大きく言えば二つです。

一つは、日本の少子高齢化です。国内の需要が将来も増加していくにか不安なのです。生産拠点も人手が集まる海外にシフトしてきました。外国人労働者を活用するにも、日本という立地は必ずしも有利ではありません。

もう一つは、金融危機の再来の予感です。リーマンショックから10年余りが経ちました。経験的に、そろそろ次の金融危機が到来しそうです。その火種は、あちらこちらで燻っています。

 

確かに、政府はいろいろな施策をとってはいます。しかし、百花繚乱でポイントが絞り込めません。与党も野党の行き当たりばったりの錯乱作戦に、右往左往している印象です。こういうときこそ、しっかりしなけりゃならない行政も不祥事続きです。

平和ボケはわかるのですが、気を引き締めて頑張ってもらいたいものです。