「蜂蜜が農薬に汚染されている」という報道があるのですが、間違い(誤解)だそうです。
たくさんのミツバチが一度に死んでいるのが、ときどき見つかるそうです。ミツバチの大量死の原因の多くは、ミツバチにだけとりつく固有のダニが原因のことが多いのです。しかし、稀に農薬が原因のこともあります。ミツバチは弱い生き物なので、すぐに死んでしまいます。農薬が原因で死んでしまったミツバチが蜂蜜を集めて巣箱に戻ることはできないわけです。このため、農薬に汚染された蜂蜜というものはないのです。
ミツバチには、在来種のニホンミツバチと外来種のセイヨウミツバチがいます。ミツバチの種は9つあるのですが、日本にいるのはこの2種だけです。
蜂蜜を食していたという記録は、日本書紀にもあるそうです。これは、野生の蜂の巣から採取したものですが、同じ日本書紀に百済からの渡来人が養蜂を試してみたが失敗したという記述もあるそうです。大陸や朝鮮半島では、7世紀でも養蜂がおこなわれていたのです。
その後、奈良時代になると日本の各地で小規模な養蜂がおこなわれいたようです。江戸時代になって貨幣経済が浸透すると、換金性が高い農産物としての蜂蜜生産が拡大していきます。紀伊の熊野蜜といったブランドが有名になり、土佐・伊勢・安芸などが産地として発展します。
このころのミツバチは、在来種のニホンミツバチです。
明治になると殖産興業を進めるなか、養蜂業の近代化がおこなわれます。明治10年にアメリカからセイヨウミツバチが輸入されてきます。多くの先人が苦労を重ねて、日本の蜂蜜生産は隆盛していく、大正になると輸出商品として外貨獲得に貢献するようになりました。
このときの主役のミツバチは、外来種のセイヨウミツバチです。
外来生物というだけでネガティブな印象を持つ方がいますが、少し間違いです。このブログでは何度か書いていますが、全ての外来種を否定することはありません。
ニホンミツバチとセイヨウミツバチは、きちんと共存しています。大雑把に言えば、ニホンミツバチは野生種で、セイヨウミツバチは産業種です。
ニホンミツバチが集める和蜜というのもありますが、ニホンミツバチは元来気ままに生きているので蜂蜜集めには向いていないようです。もちろん、その分だけ和蜜は希少性があり、その地域の特性を表すので人気があります。
セイヨウミツバチのほうは、統制が取れています。毎日採蜜に出掛けて均質な蜂蜜を集めてきます。セイヨウミツバチでも半径2㎞ほどを飛ぶのですが、特定の花の蜜だけを集めてきますから商品にしやすいのです。有名な八の字ダンスで、花が群生している場所を同僚の蜂に教えるというわけです。
いつも「ニホン」が「セイヨウ」より勤勉なわけではありません。特に、日本で活躍しているセイヨウミツバチは「イタリアン」というイタリア原産の亜種ですし・・おっと、失礼。