連日のように高齢者による重大交通事故のニュースが流れています。この一つの答えとしてシニアカー(ハンドル型電動車いす)があるのですが、これも不安があります。
電動車いす安全普及協会のWebサイトによると、平成29年のシニアカーの出荷台数は約1万7千台です。使用される期間を10年と仮定すれば、今日現在で14万台程度が走っていることになります。この安全対策について確認しなければならないと思います。
高齢者が認知機能(まれには運動機能)の低下によって、自動車運転の安全性を担保できずに重大な事故を起こすケースが増えています。そこで、運転免許の返納をして、自動車の運転を卒業しようという働きかけが強くなっています。
免許を返納した高齢者の足としては、バスやタクシーといった公共交通機関を使うのが一般的ですし、好ましいと思います。よく、地方ではクルマ以外の選択肢がないというコメントをテレビでする人がいますが、それは嘘です。
地方では、仮に乗客がごく少数でも生活バス網はしっかりしていて、高齢者は利用しています。実際、報道されている事故は池袋とか博多とか大都市ばかりです。
しかし、公共交通機関までいらない場合の足としては、電動アシスト自転車(年間55万台)か、シニアカー(正式にはハンドル型電動車いす)が選ばれます。このシニアカーが増えてきており、協会加盟のメーカーもトヨタ・ホンダ・スズキ・ヤマハにクボタ・フランスベッドと多種多彩です。国内市場規模も300~400億円と大きくなっていますから、成長事業でしょう。
シニアカーは、時速6㎞以下でしか走れないように作られているので、車両ではなく歩行者の扱いです。つまり、車両にはかかる規制が何もないですし、保険などの義務もありません。
しかし、シニアカーによる死亡事故も年に数件発生していますし、重傷事故まで含めると年間5件以上になります。
例えば、遮断機が降りている踏切に進入して列車にはねられて死亡、道路の脇から側溝に転落して死亡、急な坂道を下って正面の壁に衝突して死亡、といった例があります。
(特に、踏切事故は多い)
シニアカーは運転操作がとても簡単です。でも、簡単ということは間違えやすいということの裏返しでもあります。もともと認知機能に心配がある高齢者が運転操作するわけですから、安全装備の充実をはかることが望まれます。また、日常のメンテンナンスや機能点検などを販売店などに義務付けることも必要でしょう。考えていきたいですね。
※追記ですが、シニアカーは福祉用機器に該当するので、消費税は免税です。