労働災害のなかで最も多いのが転倒災害です。平成30年では3万2千件が発生しており、全労働災害の25%に当たります。転倒災害の予防に取り組むことは必要です。
転倒災害は工場などで発生するだけでなく、店舗や路上などどこでも起こります。第三次産業に限れば、労働災害の1/3は転倒災害です。高齢になるほどリスクが高まり、55歳以上の方は55歳未満の方と比べて、被災率が3倍に跳ね上がります。
先週末に厚生労働省が平成30年の労働災害発生状況を公表しています。
労働災害の死傷者数(4日以上の休業)が3年連続で増加しているということです。これは、大変な事態です。労働に携わる我々としては、深刻に考えないといけません。
平成30年度の死傷者数は12万7千人で、29年から約7千人(5.7%)も増えています。なかでも、転倒災害による死傷者数の増加が3千5百人(12.4%)で最も多くなっています。
転倒災害による死傷者では、1か月以上の重傷者が6割を超えていて、死亡に至った方も24名おられます。転倒災害の被害は、思ったより長引きます。
転倒災害の原因は「滑る」「つまづく」「踏み外す」の3つに集約されます。転倒災害防止の対策は職場によって異なりますが、この3つの視点で点検チェックをおこなうことが肝心です。
床や階段が「滑る」ことはないですか? 油脂がこぼれていたり、水で濡れている床やステップは滑ります。靴の底がすり減っているとか、耐滑性がない靴を使っていませんか?
職場で「つまづく」場所はないですか? 通路や階段、扉の出入り口にモノが置いてあったらつまづきます。不自然な段差などが、不慣れな人にトラップになっていませんか?
職場で「踏み外す」ことはなかったですか? 若い頃は、ヒヤリハットで済んでいたかも知れませんが、去年より1歳老いています。モノを抱えて階段を降りるのは危ないですよ。
是非、この機会に点検してみてください。