人は資源なのか?という疑問

労働生産性を高めるためにIE手法などを使って現場の改善を進めると出てくる疑問です。

 

労働生産性を高めるというのは、結局のところ”たくさん働け”・”速く働け”・”休まず働け”・”ムダなことはするな”ということじゃないか? ヒューマン・リソースとか横文字を使っても働く人のことを原材料やエネルギーと同じ資源としかみていないのか?・・・

 

鉱物資源の採掘
鉱物資源の採掘

確かに一時期「人的資源」という言葉は、不穏当だから使うのを避けようとしたときがありました。10年少し前だったでしょうか。

 

たまたま、今日ヒューマン・リソースという題のセミナーの案内を受けたので、ちょっと思い出しました。どうやら、人が資源の一つだという考え方は、現在でも広く受け入れられているようです。

 

辞書で資源を調べると、広辞苑「生産活動のもとになる物質・水力・労働力などの総称」、大辞林「自然から得られる生産に役立つ要素。地下資源・水資源・海洋資源・人的資源・観光資源など」と書いてあります。これらの辞書では人が資源に含まれています。

ところが、明鏡国語辞典「自然から得られ、産業の原材料として用いられる物資」、新明解国語辞典「産業の原料や材料になる物質」となっています。積極的には人(人材)を資源に含めていない辞書もあります。

 

二つの考え方の違いは「生産」と「産業」のようです。人を資源の一つとみるのは、資源が生産に役立つとしているからです。一方で産業の役に立つとすれば人は資源ではないようです。

 

そこで、生産を広辞苑で引いてみると、「人間が自然に働きかけて、人にとって有用な財・サービスを作り出すこと、もしくは獲得すること。」とあります。財やサービスを作り出すことに役に立つとすれば、資源は天然資源(動かない資源)に限らなくてもいいというわけです。

 

このように考えれば、日本が資源に乏しい国だというのは間違っています。

天然資源には枯渇しているものが多いのは確かですが、美しい山・川・海といった自然が身近にあり、はっきりした四季があり、そして何より知的にも情緒的にも優れた人材がたくさんいるわけです。これらの人材が創造する知恵や文化は、動いている(生きている)資源です。そう考えれば、現在の日本は、依然として世界の資源大国と言ってもいいでしょう。

 

そして、この位置を維持するには、”たくさん働け”・”速く働け”・”休まず働け”・”ムダなことはするな”ということですかね。