某紙の見出しです。平成の証券市場が閉じたので、某紙がこう報じています。
昭和の終わり1989年1月9日はバブル景気の真っ盛りで日経平均は30,209円。年末には史上最高値の38,915円をつけます。平成の時代は日経平均が1万円を割っている時期も長くありましたが、平成最後の4月26日の終値は22,258円でした。
22,258円と30,209円を比較すると26%下落ですから、嘘ではありません。
数学の専門家でなくとも、現在の日経平均株価の22,258円と、30年前の30,209円を比較したときに「3年間で26%下落」と書く意味がないことはわかります。
右が日経平均株価の推移です。各年の年末の日経平均株価をプロットしています。
先に書いたように平成元年の年末は史上最高値の38,915円です。
翌平成2年の1月4日の終値は38,713円でしたが、12月28日には既に現在とほぼ同じ23,848円に下がっています。1年間でなんと39%の下落です。
右に日経平均株価と株式時価総額の推移を示しました。赤が日経平均です。
グラフを平成のはじまる10年前からはじめています。これを見れば、平成元年の日経平均株価がどれほど異常であるかがわかると思います。バブル景気は狂乱以外の何物でもありません。
景気は循環しますので、その後もバブル的な好景気とその破綻を繰り返して、日経平均は上下します。
ここで、青線の株式時価総額との関係に注目です。平成10年辺りからズレているのがわかると思います。
日経平均というのは、東京証券取引所1部に上場している会社から日経新聞社が225銘柄を選択して単純平均しているという数字です。そもそも、かなり乱暴な数字ですが、必ずしも市場全体の景気を表すわけではありません。特に、経済が高度化複雑化して、産業の新陳代謝が進んでいる今日では指標としての意味が薄れています。
また、日経平均に選ばれる225銘柄も入替があります。現在の日経平均の変動に影響が最も大きいファーストリテイリング(ユニクロ)は平成元年にはなく、平成17年に組み込まれました。ソフトバンクは平成16年、セブンイレブンが平成12年です。
つまり、日経平均株価にそれほど連続性があるわけではありませんから、注意が必要です。
それにしても、某紙の見出しは悪質です。