工場や事業場の火災や事故のときの通報手順を目にする機会があります。
大きな工場では、通報の順番が決まっている場合があります。例えば、現場の作業者が火災を発見したら、まずリーダーに連絡すること。リーダーは状況を確認してマネージャーに連絡すること。マネージャーは必要な場合には工場に連絡したうえで、消防署に通報すること。
→もちろん、こんなのはダメ!です。
連絡通報体制を考えて決めるのは工場や事業場の管理者です。偉い人です。
現場の作業者に勝手なことをさせないとか、工場の中で片付く失敗を外部に知らせたくないという意識が働きます。
右のような連絡通報体制は少々極端ですが似たようなものは結構見かけます。
火災でも事故でも、発見した作業者の判断で直ちに通報するべきです。一刻も早く通報することが、大事にならない秘訣です。
作業者にしっかり教えて、訓練をすることは次のようなことです。
火災でも事故でも同じですが、発見したら、先ずは大きな声で近くの人を呼ぶこと!(ホイッスルをヘルメットにつけているならホイッスルを吹く。)大声の練習をしておくといいです。
近くに人がいないような工場なら、消火栓の非常ボタンを躊躇なく押すこと。
この時点で、消防に通報するか初期対応をとるかは作業者の判断です。
例えば、自分が操作している装置でバルブを閉じるとか火炎を封止することで火が消せると思うなら消防への通報は、近くの人や非常ベルで駆け付けた仲間に任せて、その措置を優先させます。
そうでなければ、発見者が直接消防署に通報します。
上司や管理者は、仮に簡単に消せる小火(ボヤ)であったとしても、火や煙を見て通報した作業者を賞賛はしても叱責してはいけません。
火災の拡大を防止する方法は作業者に繰り返し指導して訓練をしておかなければなりません。危険物や化学物質、高圧ガスなどを取り扱う工場では、工場独自の対処方法があります。
一方で初期消火活動には限界があります。ムリはしないことです。
一般的には「炎が天井に到達」した時点で初期消火活動はあきらめて避難します。作業者や廻りの人の安全が第一です。上司や管理者は、後から作業者に対して「まだできることがあっただろう」などと責めてはいけません。
あなたが、「予めしておかなければならなかったことを怠った」というだけです。