「復興」は辞書で「いったん衰えたものが、再びもとの盛んな状態に返ること」とあります。
大臣の辞任で話題になってしまいましたが、東日本大震災からの「復興」というのは、東日本はもともと盛んであったが震災で傷んでしまったので、もとの状態に戻そうという意味です。
「もとの盛んな状態を誰もが忘れないで、認識していること」が大事です。
英語のRevivalも復興と訳されます。
しかし、ゴーンさんの「日産 Revival Plan」は、日産をもとの盛んな状態に戻す「復興」の意味ではなかったようです。Revivalはキリスト教の言葉だそうで、死者を蘇らせる「復活」という意味です。ゴーンさん自身が、日産のもとの盛んな状態を認識できていなかったので、生き返らせることに重きを置いたわけです。
「復興」の訳語としては、Reconstructionとか、Rehabilitationとか、のほうがしっくりするような気がします。
古き良き時代に戻したいという気持ちは大事です。仮に、今と正確に比較してみたら、決して盛んな状態ではなかったとしてもです。そのときの笑顔や熱気や友情を思い出すのです。
ユーミンに「あの日に返りたい」という歌があります。
♪ 泣きながらちぎった写真を 手のひらにつなげてみるの ♬
♬ 悩みなききのうのほほえみ わけもなくにくらしいのよ ♫
無邪気に笑っていた過去は、どうしても憎らしいけれど、決して破って捨てられないのです。
トランプ大統領の「Make America Great Again」も、強いアメリカに戻りたいという意味です。多くのアメリカ国民の共感を得ることに成功しました。
但し、少し問題があるのは GreatなAmerica が一般の人が思い描く1950年代のアメリカのことなのかどうかです。アメリカ経済が活況を謳歌して、エルビス・プレスリーが踊り、世界中の誰もが豊かなアメリカに憧れた時代です。しかし、もしかしたら、トランプさんのAgainは少し違うのかも知れません。
たいていの国、たいていの人には、あの日に返りたいと思わせる盛んなときがあったのです。その豊かさ、暖かさ、強さを思い浮かべることが力になります。意識して、古き良き時代を設定することも、実は大事なことなんだと思います。