日本のプラスチックリサイクル率は86%です。これは本当の話です。
ニュース記事で日本のプラリサイクルの大半はサーマルリサイクル(熱回収)なので、結局は焼却しているだけだから、リサイクルというのは誤魔化しの嘘だというのを読みました。世界基準ではこれはリサイクルではないとか、世界の流れはリユース・リデュースだと言っています。この手の話をする人はたまにいるのですが、間違いです。
日本のプラスチックのマテリアルフローは右の図のようになります。
マテリアルリサイクルが23%ありますが、国内の再投入は7%で残りの16%は輸出されています。この一部は燃料になっているので、結局は燃やしています。
ケミカルリサイクルが4%ですが、製鉄所の還元剤ですから、結局は燃やしています。
サーマルリサイクルが58%で、熱や電気になるのですが、結局は燃やしています。
未利用の14%のうち、8%は単純焼却(6%が埋め立て)で、結局は燃やしています。
なんだ、リサイクルしていると言ったところで結局は燃やしているじゃないか、というご批判です。しかし、プラスチックをマテリアルリサイクルするには膨大なエネルギーを投入する必要があります。環境負荷を増大させるので、元の石油として熱回収することは合理的です。
また、「ゴミは燃えるもの」という錯覚もあります。家庭や事業所でプラスチックや古紙(新聞や雑誌)を分別した後に出している可燃ごみは、大雑把に言えば紙と生ごみが半々くらいです。このゴミ、燃えないです。このゴミを処理するのに石油やガスを使うのではなく、廃棄されるプラスチックを適度に投入することも合理的です。
焼却を熱回収と言い換えるだけという批判は当たりません。世界の多くの国では廃棄プラスチックを埋め立て処分しています。国土が狭くて、石油資源が無い日本が、廃棄プラスチックを埋め立て処分しないで、エネルギーとして利用するのは当然です。
世界の流れはリユース・リデュースだというのは正しいのですが、この流れは日本が先行してます。日本人1人当たりのごみ排出量はどんどん減っていて(高齢化の影響もあるが)、途上国を除けば世界最低水準です。アメリカと比べると半分以下、北欧諸国やドイツなどと比べても60%ほどです。欧州で日本並みはポーランドとルーマニアの2か国だけです。