今日は計量協会に立ち寄ったので、久々に計量(士)ネタです。
計量士は国の資格です。計量士は、計量管理を職務とします。
計量管理とは「計量器の整備、計量の正確の保持、計量の方法の改善その他適正な計量の実施を確保するために必要な措置を講ずること」となっています。
計量士には、一般計量士と環境計量士があります。
一般計量士は、重さ・長さ・温度・熱量などの計量管理をします。工場やスーパーマーケットのはかり(質量計)の管理などが身近です。
環境計量士は(濃度関係)と(騒音振動関係)に分かれます。
(濃度関係)は、水や空気のなかの有害物質とか悪臭物質の濃度の正確な計量を管理します。
(騒音振動関係)はその名の通り、道路や鉄道・航空機、建設現場などの振動や騒音の測定や計量管理が仕事です。
計量士の登録者数は、一般計量士が14,000人、環境計量士(濃度)が10,000人、環境計量士(騒音振動)が3,000人、平成4年以前の旧法の環境計量士が7,000人です。
旧法というのは(濃度)と(振動騒音)の区別がなかった頃に登録した人です。
私は平成4年に試験を通って登録は5年以降です。1回の試験で(濃度)と(騒音振動)の両方登録というちょっと裏技です。そのときの上司から、来年から区分されるらしいから今年合格しておけと指示されたのです。プライベートで忙しい年だったので、ちょっと大変でした。
計量士の登録には更新制度が無いので、一度登録するとそのままです。
近年は、計量士になる人が少ないので困っています。昨年12月の計量士試験の合格者数は一般計量士が161人、環境計量士(濃度)が392人、(騒音振動)が113人です。
国家資格としては超マイナーです。
一般計量士で独立して仕事をしている人は全国でも1,000人未満です。企業内の計量士がどのくらいいるのかはよくわかりませんが、適正計量管理指定事業所が約2,500(日本郵便を除く)なので、5,000~6,000人でしょうか?計量士業界も、高齢化と若者不足が悩みです。
なかでも少ないのが環境計量士(騒音振動)です。実際に活動できている計量士は1,000人に満たないかも知れません。日本の騒音振動の計量管理は危機的水準になっているようです。
計量士は技術系の資格です。技術は進歩しますし、新しい理論が産まれてきます。騒音振動の分野でも人間への影響など医学的な研究も進んでおり、多くの進歩がありました。航空機騒音や低周波関連は30年間で激変です。法令や規則の変更もたくさんあります。
本来であれば、これらの新しい技術の習得を促してレベルを維持するためには、更新登録制にするべきです。そうしないと、計量士の質が担保できませんし、地位が上がりません。
ところが、そんなことをすると登録計量士の数が一気に減りそうです。これ以上計量士の数が減ってしまうと、計量管理という国の根幹に関わる行政の仕組みが崩れます。
大きなジレンマですが、真剣に考えないといけないです。