三種の神器は周囲にだけしか意味がない

皇位継承が近づいているので、テレビで三種の神器について解説していました。

 

三種の神器は、天皇に皇位の証として伝えられる三種の宝物のことです。三種は、鏡(八咫鏡),剣(草薙剣),勾玉(八坂瓊曲玉)です。オリジナルは、天照大御神が孫の瓊瓊杵尊に贈ったものとされていますが、実際にオリジナルが継承されているわけではないようです。

 

源平船合戦(しものせき海峡まつり)
源平船合戦(しものせき海峡まつり)

源平の戦いのなかで、敗色濃厚となった平家は幼い安徳天皇を連れて、京から西へと逃げます。このとき、三種の神器は安徳天皇と共にありました。

ついに源氏に追い込まれた平家は下関の壇の浦に滅びます。そのとき二位尼(平清盛の妻)に抱かれた安徳天皇は三種の神器とともに入水します。

 

ここで、三種の神器は関門海峡の海底に沈んで失われた(実際に次の後鳥羽天皇は三種の神器無しで即位している)はずなのです。しかし、実は鏡は持ち出されていなかったとか、勾玉は海に浮かんだので回収したとか、剣は持ち出したのはレプリカでオリジナルは伊勢神宮にあったとか、ということになりました。

 

三種の神器で興味深いのは、古事記や日本書紀には記載が少なくて、平家物語くらいから頻繁に登場してくることです。

天皇が皇位を継承するのは、親から子へを基本として親族間承継ですから、その証になるものが必要なわけではありません。武士の世の中になって、武力を行使する拠り所として天皇の権威が重要になり、三種の神器が注目されたということです。

つまり、三種の神器は天皇の周囲にだけ意味があったということです。

 

天皇にとっては、三種の神器はあくまで象徴であってモノやカタチが大事ではありません。

北畠親房によれば、鏡は日を示し正直をもって統治すること、勾玉は月を示し慈悲をもって統治すること、剣は星を示し知恵をもって統治することを表しているそうです。

 

三種の神器と言えば、テレビ・冷蔵庫・洗濯機とか、カラーテレビ・クーラー・自家用車とか、スマホ・パソコン・液晶テレビとか家電モノもあります。

新社会人では、英語・会計・ICTだそうです。昔で言えば、読み・書き・そろばんですね。

 

これらの三種の神器も周囲にだけしか意味がないような気がします。

家電の三種の神器は販売店の売らんかなですし、新社会人の三種の神器も将来を保証してくれるわけではありません。正直と慈悲と知恵の三つを磨くことなのでしょう。