マイナスはプラスより小さく見える

このところ続いてニュースになっているマルチ詐欺ですが、華やかなのが出てきました。

 

マレーシアのSNS「エムフェイス」の広告枠を買えば大富豪になれると騙して、全国で2万3千人の会員から181億円を荒稼ぎしたという事件です。全貌がまだわかっていませんが、大規模で華やかな投資セミナーの映像がニュースで流れていました。

 

エムフェイス詐欺(TOKYO MXより)
エムフェイス詐欺(TOKYO MXより)

ニュースによると・・

マレーシアに「エムフェイス」という第二のFacebookがあるという触れ込みです。そもそも、この実態もはっきりしません。

 

この「エムフェイス」の広告枠を購入すると電子クーポンが渡される。この広告枠の価値が上がっていくので、渡される電子クーポンがどんどん勝手に増えていく。

また、この電子クーポンは新たな会員を入会させると更に増えていき、会員のステータスが上がる。典型的なマルチ商法の手口です。

 

そして、実際にスマホの画面では電子クーポンは増えていく。ところが、これを現金に換える仕組みは複雑で、且つしばしば変更される。しかも、変更されたとされる仕組みは英語あるいは中国語で伝えられることもあり、会員である購入者は理解できない。

要するところ、実際に仕組みがあるわけではないので、換金することはできない。

 

テレビで顔にモザイクが掛かってインタビューされている高齢女性は、1015万円を投資したが1円も返ってこないと言っていました。

この手の被害者は、子会員を勧誘しているので一方で加害者にもなっています。また、大富豪輩出システムと称して、3年間で100倍になる。1000万円は3年後に10億円になるという話を信じてお金を出した欲の皮の突っ張った愚か者と見られます。身近な人からも非難されますから、踏んだり蹴ったりです。

 

人は何かの判断をするときは、プラスとマイナスを天秤にかけてどちらに傾くかで決めます。この事件では、冷静に考えれば10億円のプラスがある可能性がゼロで、1000万円のマイナスがでる可能性が100%ですから、天秤はマイナス側に傾くはずです。

 

この事件は催眠商法の要素も強いようです。華やかなセミナー会場に多くの人を集めて煽るわけですが、羽毛布団を10万円で売っていた時代とは被害金額の桁が2つ上がりましたね。

 

催眠術にかかって冷静さを失っているか否かに関わらず、人はマイナスをプラスより小さく見がちです。ビジネスにおけるメリットとデメリットでも、安全衛生におけるセーフティーとリスクでも同じです。「皆さん、ご安全に!」