「消費税が馴染まない」という曖昧な理由で消費税がかからない取引がいくつかあります。
土地の譲渡や貸付、有価証券の譲渡、利子、保証料、印紙、証紙、行政手数料などは消費と言えないので納得です。しかし、医療費、介護サービス、学校の授業料、などは消費税をかけた取引にする方がすっきりするように思います。
医療費について説明してみましょう。
医療費には社会保険診療と自由診療があります。自由診療には消費税がかかりますが、社会保険診療には消費税がかからないという仕組みです。
分かりやすい例ですと、歯医者さんで樹脂製義歯や銀歯をかぶせるのは消費税がかかりませんが、セラミックの義歯なら自由診療なので消費税がかかります。また、入院したときには、個室を選んだなら差額ベッド代に消費税がかかります。これだけでも、ちょっとややこしいです。
社会保険診療の場合でも、診療に必要なものの購入には消費税がかかります。薬や包帯はもちろん、レントゲンなどの医療機器にも消費税はかかっています。
消費税は最終の消費者(言葉を変えれば受益者)が全額を負担する税です。消費税率を10%とするなら、1000円の商品を購入したら100円の消費税がかかります。この100円は販売者に渡るのですが、販売者は100円を預かっているだけです。
仮に、販売者が問屋から原価500円の商品に消費税を含めて550円で仕入れていたとすれば、販売者は100-50円で50円の預かり消費税を納めるという仕組みです。
しかし、社会保険医療費の場合は消費者である患者から消費税を預かることができません。そこで、保険診療報酬を上乗せ改定して対応しているわけです。
つまり、消費税としてあからさまにすると、国民(患者)から文句を言われるかもしれないので、診療報酬でぼんやりと消費税分を負担してもらっているわけです。
このやり方は少し問題があります。医療関係者からは診療報酬の上乗せが不足だという不満の声があがります。患者の側からは、見えない(見えにくい)かたちで負担増になるというモヤモヤ感があります。
税金には、公平・中立・簡素という3原則が重要と言われます。ここは、診療報酬を下げる方向で見直ししたうえで、社会保険医療費も消費税を外税としてはどうでしょうか?
社会保険診療と自由診療の価格を裸で比較できるというメリットもありますし、何よりシンプルでわかりやすいと思います。
シンプルでわかりやすいが大事!・・軽減税率もどうかと思っている所以です。