エンジニアリングの基本は、良い品質・合理的なコスト・適切なプロセス(工程)の3つです。
利益にばかり気が行く人は、頃合いの品質・安いコスト・短い工期を基本と勘違いします。特に問題なのが、プロセス(工程)に目がいかなくなり、工期ばかりを気にすることです。節目節目の工期(納期)にはこだわりを持つのですが、現場の工程を見なくなるのです。
レオパレス21のWebサイトによると、以下のような不正があったそうです。
2008年までに施工した物件で、界壁の施工が行われておらず、防火性・遮音性が建築基準法に違反している。
1996年から2001年に施工した物件で、界壁内部に充填された断熱材が仕様と異なり、遮音性能が建築基準法に違反している。
1999年から2001に施工した物件で、外壁が仕様と異なり、耐火性・防火性が建築基準法に違反している。
1999年から2001年に施工した物件で、天井部の施工が使用と異なり、耐火性能が建築基準法に違反している。
問題点がどこにあるのか、今の段階ではよくわかりません。しかし、1万人以上の人に転居を促すという事態になっていますし、企業の存続も危ぶまれるような事態です。
レオパレス社のビジネスモデルは、オーナーの土地にオーナーの費用で自社が建てたアパートを、自社が一括して借り上げて、自社で管理するというものです。オーナーは建築物の施主という意識は希薄で、単なる投資家です。
一方のレオパレス社としても、自分の所有ではない建築物ですから、建設の工程をきちんと見届けようという動機づけは薄かったのかも知れません。
こうなると、施主も施工側も両方が、工程ではなく工期だけに注意がいきます。QC(品質管理)の第一歩であるプロセスアプローチが働きません。
今後、この事件についての情報は徐々に出てくると思います。重要な教訓をきちんと得たいと思います。