日本が国際捕鯨委員会(IWC)を脱退することを表明しました。
国際機関が全て正常に運営されているわけではないので、どの機関に参加するかしないかはその国が決めればよいことです。IWCは名目加盟国は89で、議論に参加する実質加盟国は約60です。いつの間にか、思想的・社会的に偏向した団体からの影響を強く受けるようになっており、脱退するのは当然でしょう。
IWCの目的は「捕鯨産業の秩序ある発展」であり捕鯨国の間で水産資源としての鯨の数を調整していく取り組みでした。
このIWCの活動に目をつけたのが、いくつかの反社会的勢力です。反捕鯨や環境問題を旗印にしてはいますが、思想的・社会的に偏向していて危険だと思います。ただ、こういう勢力によって利益を得る人々、この危険に目を向けません。また、不利益を被らないで面白がるだけの人々は、こういう扇動を楽しみます。
山口県は捕鯨で栄えた県です。下関が捕鯨基地として隆盛を誇ったことはよく知られていますし、長門市では沿岸捕鯨がおこなわれていました。現在でも、山口県にとって鯨はハード・ソフトの両面で重要な資源です。
進歩的マスコミはIWC脱退に批判的です。いつもは少数者の利益を謳うことが多いのですから、鯨関係者のことをもう少し慮ってもいいと思います。
そんな鯨についての記事で、鯨肉にはメチル水銀が含まれているので食べてはいけないというのがありました。この種類の有害物質に関する極端な記事は要注意です。
確かに海洋には水銀(メチル水銀)が含まれています。水銀は生体内で濃縮するので、海の食物連鎖の上位にいるクジラの肉には高濃度のメチル水銀が含まれます。逆にイワシやアジなどは同じ魚でも水銀濃度は低くなります。
わかりやすく、体重50kgの人を例にとります。
水銀の許容摂取量は2㎍/体重kg・週と定められていますので、1週間に100㎍が上限です。平均的な日本人は1週間に50㎍の水銀を食事から摂取します。許容範囲の半分です。この80%は、1週間に1kg食べる魚介類から身体に入ります。
仮に、1kgが全てイワシやアジなどであれば水銀摂取量は10~20㎍です。タイやヒラメなら50㎍くらいです。1kg全てをマグロとクジラで摂取するなら500~700㎍になります。つまり、クジラ(他にマグロやアンコウ)ばかり食べるのは確かに危険です。
しかし、マグロ漁船の船員さんやマグロ専門店の板前さんでも水銀中毒で重篤な障害を負ったという人は恐らくいません。現実的には、船員さんでもマグロばかりを食べるわけではありませんし、許容摂取量には大きな安全率がかかっています。一般の人は、心配をする必要はないのです。
但し、妊婦さんは注意が必要です。水銀は胎盤を通って胎児に蓄積します。そんな人はいないとは思いますが、クジラ・マグロ・アンコウなどを多食する食習慣の方、は妊娠された可能性があれば、念のため多食を控えるほうがよいでしょう。