羽生善治竜王が今日の竜王戦7局で挑戦者の広瀬八段に破れて27年振りに無冠となった。
羽生さんは1970年生まれの48歳。中学生15歳で四段プロデビュー(加藤一二三・谷川浩司につぎ3人目)し、1989年に当時の最年少19歳2か月で初タイトル(竜王)を獲得。翌年防衛できず(谷川浩司が奪取)無冠になったものの、1991年に南芳一に挑戦して棋王のタイトルを獲得。これから27年間、一度も無冠になりませんでした。
羽生さんが初タイトル竜王を獲得した1989年は平成元年にあたります。そして、平成最後の年に無冠になったわけです。
今回の竜王戦が大きな話題になったのは、羽生さんが竜王を防衛するとタイトル獲得が前人未到の100期(次は大山康晴の80期)となるからでした。
将棋のタイトルは7つ(今年から叡王が加わって8つになった・棋聖が平成5年まで年2期あった)ですから、平成の30年間では216のタイトル戦が戦われます。このうちの46%に当たる99のタイトルを獲得したというのは、天才のなかの天才というべきなのでしょう。
羽生さんが7つのタイトルを独占したのは、平成8年2月14日のことです。羽生さんが谷川王将に挑戦して勝利して空前節後の七冠独占を果たしたのが山口県豊浦町(現在は下関市)にある、マリンピアくろい(今は閉鎖されてありません)のホテルでした。
下関春帆楼は伊藤博文がふぐ料理を出すことを許した最初の店であり、日清戦争講和の下関条約が締結されたことでも有名な料亭です。この竜王戦での敗退が、平成とともに将棋界での羽生時代の終わりとなるのか、それとも新たな羽生時代の幕開けにつながるのか興味深いところです。
羽生さんの将棋タイトルとは縁の深い山口県ですが、実はこれまで将棋のプロ棋士が一人も誕生していません。将棋棋士の都道府県別ランキングでは、1位が東京都(84人)・2位が大阪府(29人)・3位が神奈川県(22人)と続き、ゼロの県は山口県・島根県など9県です。
しかし、島根県には女流棋士の№1の里見香奈さんがいます。9県のうち4県では、男性のプロ棋士がいなくても女流棋士がいるので、男女ともゼロは山口県など5県です。
ちょっと残念なのですが、春帆楼での竜王戦の記録係を務めた徳田三段(20歳)が周南市出身で山口県初のプロ棋士に一番近いそうです。今期の3段リーグは4勝4敗と苦しい星勘定ですが、是非とも頑張って欲しいです。