事業経営には大雑把に2種類あります。利益拡大型と危険回避型です。
先日からワライトのホームページの閲覧数が大きく増えました。なんだろうと思うと、以下のブログの記事が読まれていたようです。
2017/04/08 アスクル倉庫火災・・スプレー缶は危険物です
今日は中小企業診断士の目線で書いてみます。
事業においては、利益と危険(ベネフィットとリスク、チャンスとピンチ、何でもいい)の関係は右のようになります。
利益を重くすると危険が浮き上がってきます。リスクがある選択をすると利益が膨らみます。
事業経営においては、利益拡大型と危険回避型の2種類があります。
利益拡大型というのは、危険(リスク)というのは、どんなに対処してもゼロにはならないのだから、許容できる範囲では認めて利益拡大を目指すという事業です。
新規の研究開発とか、演芸や音楽・美術など趣味や娯楽の産業とかが思い浮かびます。ちょっとずれると美容や健康関係もこの仲間に入ります。そして、現代において、利益拡大型の最も大きな事業分野が情報通信などのIT分野です。
一方で、危険回避型というのはリスクがあると事業の継続ができなくなる分野です。一度の事故で企業そのものが消滅することもあるならば、危険(リスク)ゼロを常に求めます。
なじみの深い化学工業の分野は当然ですが危険回避型の代表です。世界の大手化学メーカーでは、ちょっと信じられないくらいのレベルでリスクゼロを目指しています。他にも、多くの製造業の分野、自動車や航空機などの交通、橋や道路、電力やガスなどのインフラ関連、食品や飲料など、更に教育などは危険回避型の事業です。
ざっくり眺めてわかるのは、日本は危険回避型の産業に強みがあって、利益拡大型はちょっと苦手です。
よく日本の生産性が低いという議論があります。
これは、「生産性=アウトプット÷インプット」で測った場合に、短期的には危険回避型が不利になるからです。人間の寿命くらいの期間で測れば評価は逆転するかも知れません。
ちょっと横道に反れましたが、今回の爆発事故を起こしたのはアパマンという企業グループの会社(店舗)です。アパマンは、Webサイトを見る限りですが、このところ利益重視の事業展開を急速に進めているようです。”Schelling Economy”事業に力を入れて、多額の先行投資をおこなっています。
しかし、本業である不動産賃貸業は住居というインフラを供給する事業ですから、危険回避型でなければなりません。今回の事故を教訓にして、このあたりの考え方を整理することは、企業の成長にとって重要でしょう。