仕事先近くにレストランが開店しています。たくさんの胡蝶蘭が店頭に並んでいます。
胡蝶蘭が並んでいることは珍しい事ではないのですが、名札に書かれている名前が誰もが知っているような有名人の方々なので目を引きました。本当にこの人が贈っているのだろうか?って、ちょっと疑問です。友達の友達のそのまた友達・・なのかなぁ?
山口市にあるクマサキ洋ラン農園の乙姫という品種の胡蝶蘭が、今年の全国洋ラン大会で金賞を受賞しました。
胡蝶蘭を含めて、ラン科の花は観賞用に人間が交配するので何十万種もあるそうです。
もっとも、もともとラン科の植物というのは種類が多くて、野生種だけでも3万種を超えるということです。全世界に分布しています。
日本でも、カンランやシュンランなどの固有種が自生しています。
ここで、注意はスズラン(鈴蘭)とか、クンシラン(君子蘭)とかは蘭と名がついていますが、ラン科の植物ではありません。
ちょっと蘊蓄なのですが、胡蝶蘭を含むコチョウラン属の学名は「 Phalaenopsis」といいます。この意味は、ギリシア語で「蛾のような」という意味だそうです。まぁ、形状は同じようなものなのですが、和名としてコチョウラン(胡蝶蘭)と名付けたセンスは素晴らしくて、今の隆盛につながっています。
ちなみに、ランの学名は「Orchidaceae」といい、英語でランは「Orchid(オーキッド)」です。これもギリシャ語でOrchidaは「睾丸」でcaseは「科」だそうです。球根のかたちが丸くて睾丸に似ているのだそうです。まぁ、この名前もどんなもんでしょうか?
それに比べて、漢字の「蘭」はいい感じです。草冠に門のなかに東です。東は香りや美しさを閉じ込めているという意味だそうで、門は名家にある大きな扉ですから華やかなイメージが強まります。
万葉集には、山上憶良が大宰府の大伴旅人の屋敷でおこなわれた梅を観る会の序として書いた文が載っています。
「時に初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す(いまは初春の素晴らしい月であり、空気はよく風はやわらかで、梅は鏡の前の美女が装う白粉のように開いており、蘭は帯玉(腰に下げた宝玉)の後ろに続く香りのように薫っている)」
ね、いいでしょ。但し、この蘭は胡蝶蘭ではありません。