外国人労働者の受け入れ拡大が議論になっていますが、造船業界は凄いことになっています。
私の故郷は造船業が盛んなところです。当時は市内の事業所で最も多くの人が働くのは、大手繊維会社でも、化学会社でもなくて造船所でした。その後になって、外国人労働者が最もたくさん働いているのも、やはり造船所だったと思います。
造船所のドックで大きな船をつくるには、たくさんの人が働くことが必要でした。鉄板を切ったり、曲げたり、溶接したり、組み立てたりするのは、技能と体力のある男性の職場でした。ドックでは1隻づつ、船が造られて、完成すると華々しい進水式が挙行されました。
それが、いつの間にか船はパーツ毎にドックに併設した工場で造られ、ドックでは組立をするだけになりました。パーツとはいえ、大型の構造体なのですが、その製作の多くが自動化・ロボット化されるようになっています。
直接的な比較は難しいのでしょうが、現在の日本の造船所は労働者がとても少なく、生産性が非常に高い職場になっています。もちろん設計は3D技術が使われるので、自動機械への指令も適格です。重量物の運搬も自動クレーンがおこない、どうしても人手でないといけない部分を除けば溶接もロボットがおこないます。
結果として、屈強な外国人労働者に頼る必要が薄れており、一方で現場で働く女性の数は増えているそうです。
造船業で自動化ロボット化が進んだ要因と、類似の産業である建築業で自動化ロボット化が進まない原因をちょっと考えています。どちらも国土交通省の所管する産業ですが、やはり競争と規制ということに違いがあるようです。
長年に渡って国際的な競争にさらされてきた造船業と、未だに国内での需要を喚起され続ける建築業の差があります。それゆえに、建築業には強い規制がかかり、新技術の導入に障壁になっているのだと思います。
さぁ、これからはどうなっていくのでしょうか?