金属部品加工では、表面処理としてファインバブルの利用がとても注目されています。
微細気泡のことをどう呼んでよいのか?ですが、ファインバブルということにします。1995年に徳山高専の大成先生がファインバブル(当時はマイクロバブルと呼んでいた)発生装置を開発して、カキやホタテなど二枚貝の養殖に応用したことが、発展のきっかけです。
ファインバブルは日本発の革新的技術の一つです。大成先生が開発された頃は気泡の直径がマイクロメートルの単位であらわされることからマイクロバブルと呼ばれていました。
その後、追随する人は一単位小さくナノメートルの単位で合わせてナノバブルと呼ぶようになりました。この両者に違いがないのと、英語のナノバブルのイメージが悪いので、マイクロバブルとナノバブルを合わせて印象のよい「ファインバブル」ということになりました。
さて、そのファインバブルですが私たちの仕事の範囲では、2005年頃に一度ブームがありました。排水処理や水質浄化、更に土壌汚染の浄化などに応用されていきました。実際に、自動車工場の塗装排水処理用に何件か納入して、よい成果を上げています。
ファインバブルの製造装置には多くの方法があるのですが、スタティックミキサーを使う方法では装置が簡単なので、お風呂に使って入浴してみたりもしました。確かに、身体の表面の汚れや脂分が綺麗に落ちていきます。美容に良いか(悪いか)は疑問ですが、金属部品の洗浄には確かに効果がありそうです。
ちなみに、ジェットバスの泡とは違います。ジェットバスの泡は泡と泡がくっついて大きくなってすぐに弾けるのですが、ファインバブルの泡は徐々に小さくなって消えていくのです。
ファインバブルは、不思議なほど多くの効能効果があるうえに実験なども簡単で参入障壁がとても低いものですから、あまりにもたくさんの企業や機関が参入してきました。我々も、その一つだったのですが・・。
そして、原理もよくわからないままに、非常に多くの応用開発がされて使用されていきました。このため、ファインバブルのバブルは一時期崩壊していました。
ところが、10年余りの期間を経てファインバブルは再び注目を浴びてきています。
この期間、ブームに踊らされずに研究や試験を続けてきた人たちが、蓄えた知見を活かしているようです。ファインバブルが、これからの日本の産業発展に貢献し、世界の環境保全に役立つことに期待しています。