二度も延期したので、本当に消費増税はおこなわれるのか?と疑心暗鬼を生んでいました。
安倍首相が昨日の閣議で、来年10月1日に消費税を2%上げることを正式に決定して、発表しました。過去二回の増税の機会でも書いていたのですが、原則として消費増税は実施されなければならないと思っています。
財務省のWebサイトから、国民負担率の推移というグラフを右に載せてみます。
社会保障負担率が右肩上がりに増えているのが分かります。平成30年度は17.6%です。
これは、端的に言えば、日本で長寿化が進む一方で、少子化で負担する側の人口が減っていることが原因です。
もう一つの負担である租税負担率は、平成30年度は24.9%となっていて、近年は25%前後で横ばいです。平成2年には27.7%までj増加していましたから、むしろ抑制的な推移です。
実際の国民負担率は、この社会保障負担と租税負担にに財政赤字を加えなければなりません。つまり、将来の負担分です。社会保障負担と租税負担の合計が青線のグラフで平成30年度は42.5%です。これに財政赤字を加えたのがピンクのグラフで同じく48.7%です。
財政赤字は、次世代への付け回しですから、これを良いことという人はいないと思います。平成21年度に14.5%まで広がった財政赤字を、6.2%まで縮小してきているというわけです。
一方で、国民負担率を国際比較すると、日本はOECD諸国の中でも最も軽い国の一つです。
日本より国民負担率が軽い国としては、アメリカがありますが、ご存知のように自己責任を重んじる国です。社会保障も政府が担うのではなく、個人が民間の保険に加入するのが一般的です。
社会保障制度が充実している欧州各国は、軒並み現時点でも日本より国民負担率が高くなっています。
ここで、考慮しなければいけないのは高齢化率です。
欧州各国の高齢化率は、イタリアの23.0%が最高ですが、ドイツ21.5%、フランス19.7%、イギリス18.5%と概ね20%弱です。一方で、日本の高齢化率は既に27.1%ですから、欧州各国より10年余り先行しています。つまり、欧州各国もこれからの高齢化社会での国民負担の増加への対応に腐心している状況です。
社会保障費の増加に伴う国民負担の増加に対して、現在の消費に課税するというかたちでこれを賄うのは合理的な政策だと思います。財政赤字を再び増やして次世代へ負担を先送りするのは、止めたいと思います。